更新日: 2022.05.16 年金

夫は繰上げ受給、妻は繰下げ受給。老後を生き抜くための年金戦略とは?

夫は繰上げ受給、妻は繰下げ受給。老後を生き抜くための年金戦略とは?
原則的に年金は65歳から支給されますが、このタイミングを変更できる制度があります。
 
そして、夫婦は同じ年齢で受給をスタートする必要がなく、開始時期に大きな差をつけることも可能です。就労状況などにもよりますが、「夫は繰上げ受給」「妻は繰下げ受給」の組み合わせにすると、通常より有利になる可能性があります。
 
本記事では、老後を生き抜く年金戦略として、その方針の有効性について詳しく解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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繰上げ受給と繰下げ受給の理解が必要

多くの人にとって年金は、老後の暮らしを維持するために必要な収入です。夫婦が共に生計を立てていくなら、2人の年金に関しても、トータルで最もメリットが大きい方法を考えましょう。
 
そこでポイントになるのは、繰上げ受給と繰下げ受給の制度をうまく活用すること。繰上げ受給と繰下げ受給は、受給の開始時期が変わるだけでなく、支給額の増減を伴う点が特徴です。
 
繰上げ受給は60~64歳の間に受け取りをスタートできますが、時期が早いほど減額率が大きくなります。1ヶ月早めるごとに減額率は0.5%(昭和37年4月2日以降生まれの場合は0.4%)ずつ増え、60歳になってすぐ受給する場合は30.0%(24%)です。
 
一方、繰下げ受給は、66~75歳の間に受け取り始め、時期が遅いほど増額率は上がります。1ヶ月遅くするごとに増額率は0.7%ずつ増え、75歳の場合は最大で84.0%にも及びます。
 
夫婦が受給するタイミングを決める際、上記の仕組みを理解しておく必要があります。
 

夫が繰上げ受給を選択! その理由は?

繰上げ受給をすると、その分だけ早い段階で生活資金を多く確保できます。
 
ただし、国民年金の任意加入や障害基礎年金の受給が不可能になるなど、デメリットもあるので、安易に選択するのはよくありません。また前述のように、減額率の問題もあり、夫婦が一緒に申し込むと、トータルの受給額が著しく減ってしまいます。
 
それを避けるために一方だけが申し込むという手もあり、その場合は基本的に夫が行ったほうがよいでしょう。その理由として大きいのは、男性と女性の平均寿命に差があることです。
 
男性の方が統計的に寿命は短いので、年金をあまり受け取らずに亡くなるリスクは女性より高いといえます。夫の繰上げ受給には、そのリスクを小さくするというメリットもあるのです。
 
また、夫が妻を養っている一般的な世帯では、加給年金についても注意が必要になります。これは、65歳未満の配偶者を扶養していると、年金額に上乗せされるものです。
 
年金の受給開始が後にずれると、加給年金の支給が始まるタイミングも遅くなります。したがって、夫が繰上げ受給と繰下げ受給を選択するなら、前者のほうが得策です。
 

妻は繰下げ受給!どのようなメリットが?

平均寿命の長さを考慮し、妻が繰下げ受給を選択した方が、増額された年金を長期にわたって受給できる見込みがあります。夫が自分より先に亡くなった場合は、大きな安心材料になるでしょう。
 
それを踏まえて、老後の早い段階で生活資金を多めに使うなど、夫と歩む余生を豊かにする計画も立てられます。
 
また、税金の面からも、妻が繰下げ受給を選んだ方が有利になりやすいです。年金も課税対象であり、収入の合計によっては納税が必要です。
 
統計的に女性は男性より収入が低いので、男性と比べて厚生年金が少ないことも多いです。妻が専業主婦の場合は国民年金しか支給されません。
 
そのため、繰下げ受給によって年金が増額されても、公的年金等控除額の範囲内に収まり、課税額が0になることを期待できます。
 
このように、年金に掛かる税金を抑えやすい点も魅力的なメリットです。
 

繰上げ受給と繰下げ受給で老後の見通しを明るくしよう

老後の不安を減らしたいなら、年金に関する知識を身につけなければなりません。
 
そのうえで、原則にとらわれず、繰上げ受給と繰下げ受給の制度を活用することがポイントです。そうすれば、2人が65歳で受け取り始めるより、生活や将来の見通しを明るくできます。
 
先行きが読みにくい時代だからこそ、慎重に年金戦略を検討しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 加給年金額と振替加算
厚生労働省 主な年齢の平均余命
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1600 公的年金等の課税関係
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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