年金が併用して受給可能になるのは、一体どんなとき?

配信日: 2022.05.20

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年金が併用して受給可能になるのは、一体どんなとき?
日本の公的年金では、受給できる年金は1人1つが原則になっています。年齢、病気やけがの有無などによって複数の年金を受けられるときでも、基本的にはいずれか1つを選択して受給することになります。
 
しかし、一定のケースでは複数の年金を併給できることがあります。それは一体どのような状況なのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金は1人1年金が原則

公的年金は1人1年金が原則となっており、支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられるようになった場合、それらを同時に受けられるわけではなく、いずれか1つを選択して受給することになります。
 
例えば、病気やけがが原因で障害厚生年金を受けていた方が、65歳になって老齢厚生年金を受けられるようになったときは、障害厚生年金と老齢厚生年金を受けられるわけではなく、どちらか一方を選択します。
 
また、同じ支給事由で2つ以上の給付が受けられる場合も、いずれか1つを選択することになります。
 
例えば、配偶者が亡くなったために遺族厚生年金を受けていた方が、自身の生計を維持していた子が亡くなり、その分の遺族厚生年金を新たに受けられるようになった場合、これまでの遺族厚生年金を受け取り続けるか、子の死亡により受給対象となった遺族厚生年金を受け取るか、どちらかの選択になります。
 
受給する年金の選択は、「年金受給選択申出書」を最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターへ提出して行います。
 

出典:日本年金機構 「年金の併給または選択」
 

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1人1年金の例外

公的年金は1人1年金が原則とはいえ、併給して受給可能なケースがあります。
 

同じ支給事由で上乗せして支払われる年金

厚生年金は国民年金(基礎年金)に上乗せして支払われるものです。そのため、両者で同じ支給事由により支払われるものがあったとしても、それは同一の年金として合わせて受け取ることができます。
 
該当するのは「老齢基礎年金と老齢厚生年金」、「障害基礎年金と障害厚生年金」、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」です。
 

出典:日本年金機構 「年金の併給または選択」
 

老齢給付と遺族給付

65歳以上で老齢基礎年金を受けている方が、遺族厚生年金も受けられるようになった場合、両者は併給することができます。
 
また、65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受け取れる方は、ご自身の老齢厚生年金が優先して支給されることになりますが、老齢厚生年金より遺族厚生年金の年金額が高い場合は、その差額分に限り併給が可能です。
 
ただし、遺族厚生年金よりも老齢厚生年金の方が高い場合、遺族厚生年金は全額支給停止されます。
 

障害年金と老齢給付

障害基礎年金または障害厚生年金を受けている方が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるようになった場合、65歳以降は以下のいずれかの組み合わせを選択して2つの年金を受けられるようになります。
 

出典:日本年金機構 「年金の併給または選択」
 
ただし、障害基礎年金と老齢基礎年金という支給事由の異なる基礎年金の併給はできません。
 

障害年金と遺族年金

障害基礎年金または障害厚生年金を受け取っている方が遺族年金を受給できるようになった場合は、障害基礎年金と障害厚生年金か、障害基礎年金と遺族厚生年金という組み合わせで2つの年金を併給できます。
 

2つ以上の年金を同時に受けられることがある

公的年金は1人1年金が原則ですが、同じ支給事由での厚生年金の上乗せだけでなく、例えば障害基礎年金と遺族厚生年金というように、一定の組み合わせによっては例外的に支給事由が異なる2つの年金を受給できる場合があります。
 
自身が2つ以上の年金の受給対象となったとき、年金を合わせて受け取れるのか、またはいずれか一方を選択しなければならないのか、その判断が難しい場合は「ねんきんダイヤル」などへ相談してください。
 

出典

日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 2つ以上の年金を受ける権利ができたとき
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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