更新日: 2022.05.26 その他年金

年金の額が同じでも、住む場所によって手取りが変わるって本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

年金の額が同じでも、住む場所によって手取りが変わるって本当?
老齢厚生年金や老齢基礎年金などの額面が同じでも、住む場所によって手取り額が変わることをご存じでしょうか。
 
年金は老後生活を支える大切な収入源となるため、手取り額を少しでも増やす方法を知っておくことは大切です。そうすれば、いざというときに検討できます。
 
ここでは、年金の手取り額が住む場所によって変わる理由について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金の平均受給額

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和2年度の老齢厚生年金(厚生年金)の平均受給額は月14万6145円です(国民年金含む)。
 
また、老齢基礎年金(国民年金)受給者の平均受給額は5万6358円でした。近年の老齢厚生年金(国民年金含む)の平均受給額は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

年度 平均受給額(月)
平成27年度 14万7872円
平成28年度 14万7927円
平成29年度 14万7051円
平成30年度 14万5865円
令和元年度 14万6162円
令和2年度 14万6145円

出典:厚生労働省 令和元年度、令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
上記のとおり、老齢厚生年金の平均受給額は14〜15万円程度になります。
 

年金から引かれるもの

老齢厚生年金や老齢国民年金の振り込まれている金額は、額面から住民税や国民健康保険料などの税金や保険料が天引きされた金額です。
 
年金は老後生活を支える大切な収入となりますので、年金からどのような税金・保険料が天引きされるのか把握しておく必要があります。ここでは、年金から引かれる税金や保険料について見ていきましょう。
 

所得税

次のような場合、年金に対して所得税がかかります。


・65歳未満で年金収入が108万円以上ある
・65歳以上で年金収入が158万円以上ある

基礎控除(48万円)と公的年金等控除(65歳未満、130万円未満:60万円、65歳以上、330万円未満:110万円)があるからです。そのため、65歳未満の場合は年金が月額9万円、65歳以上の場合は月額13万5000円までの方は所得税がかかりません。
 

住民税

65歳以上で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は住民税が天引きされます。
 
住民税は、所得割額と均等割額で構成されており、年金収入から公的年金等控除額や社会保険料控除額などを差し引いた金額に住民税率を掛けて、調整控除額を引いて所得割を求めます。均等割は一律の金額です。
 

国民健康保険料

65歳以上75歳未満で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は国民健康保険料が天引きされます。
 
国民健康保険料は、医療分(基礎賦課額)、支援分(後期高齢者支援金等賦課額)、介護分(介護納付金賦課額)を合算して算定される仕組みです。所得割額と均等割額で構成されており、計算方法や料率は市区町村で異なります。なお、75歳以上になると後期高齢者医療保険料へと移行します。
 

介護保険料

65歳以上で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は介護保険料が天引きされます。
 
65歳以上の方は第1号被保険者です。介護保険料は、基準額に所得で段階的に設定された割合を乗じ、算定します。段階や基準額などは市町村ごとに条例で定められています。例えば、東京都大田区では、1〜17段階まであり、基準額×0.25〜3.55が介護保険料です。
 

後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方や一定の障害がある65歳以上の方を社会全体で支える仕組みです。
 
75歳以上または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当し、老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて年間の受給額が18万円以上の場合は、後期高齢者医療保険料が天引きされます。
 
後期高齢者医療保険料は所得割額と均等割額で構成されています。東京都内の所得割額は所得金額×9.49%、均等割額は被保険者1人あたり4万6400円です。
 

住む場所で社会保険料が異なるため年金手取り額も変わる

老齢厚生年金や老齢基礎年金は額面から税金や社会保険料が天引きされます。
 
まず、住民税は住んでいる場所により異なる場合があります。国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料も、住んでいる場所によって料率や基準額が異なります。そのため、年金の額面は同じでも、住んでいる場所によって手取り額に差が生じます。
 
社会保険料が安い地域に住めば、年金の手取り額を増やすことが可能です。これから引っ越しの予定があり場所が決まっていない方は、このことを参考にしてみてください。
 
このように、住んでいる市町村によって年金の手取り額が異なるということを知っておくのもよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
金融広報中央委員会 知るぽると 介護保険制度のしくみ
厚生労働省 高齢者医療制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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