更新日: 2022.06.02 その他年金

海外移住した場合の年金はどうなる? 任意での加入も可能?

海外移住した場合の年金はどうなる? 任意での加入も可能?
「海外移住をするにあたって、これまで納付した年金はどうなるのだろう」「海外に移住しても年金の納付や受け取りはできるのだろうか」
 
このような疑問を持つ、海外移住予定の人もいるのではないでしょうか。
 
複雑な手続きが必要だったり、年金の加入や受給ができなくなったりするのではないかと不安になるかもしれません。
 
当記事では、海外移住者が年金請求できるのかどうかとともに、国民年金への任意加入についても詳しく解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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海外移住者は年金を受け取れる

海外に移住しても、年金を受け取る権利があります。どこの国に移住しても、日本国籍がなくても受給権は喪失しないのです。
 
ただし、年金を受け取れる時期に到達した際に、自動的に受給が始まるわけではありません。自分で手続きを行う必要があります。
 
では、どんな手続きが必要なのでしょうか。
 

年金請求書と必要書類を提出

年金請求の手続きをするには、受給開始年齢の誕生日の前日以降に「年金請求書」に必要事項を記入して提出してください。受給開始年齢の誕生日の前日よりも前に年金請求書を提出しても受付されないので、注意しましょう。
 
提出先は、日本国内で最終居住地となった地域を管轄する年金事務所、全国80カ所にある街角の年金相談センターです。
 
年金請求書は、日本年金機構のホームページからダウンロード、または年金事務所や街角の年金相談センターにて入手できます。
 
また、年金請求書と一緒に、図表1にある書類の提出(受給権発生日以降に交付されたもの、年金請求書提出日から6ヶ月以内に交付されたもの)が必要です。
 
【図表1】

必要書類 備考
戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、
住民票の記載事項証明書のいずれか
・本人の生年月日を確認できる書類
・日本年金機構にマイナンバー登録のある人は、戸籍謄本などの添付が原則不要
・マイナンバー登録のない人は、年金請求書にマイナンバーを記入すれば戸籍謄本などの添付が原則不要
本人名義の受取先金融機関の預金通帳、キャッシュカード ・コピー可
・年金請求書に金融機関の証明がある場合は提出不要

 
そのほか、下記に該当する人は、世帯全員の住民票の写しや収入が確認できる書類提出が必要です。

●請求者本人の厚生年金加入期間が20年以上で、配偶者または18歳未満の子どもがいる場合
●請求者本人の厚生年金加入期間が20年未満で、配偶者の厚生年金加入期間が20年以上ある場合

 

社会保障協定と協定相手国

 
社会保障協定とは、海外で働く日本人が、日本と協定相手国の年金保険料を二重に負担することのないように調整し(二重加入の防止)、日本の年金加入期間と協定相手国の年金加入期間を通算することで、年金受給に必要な加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)というものです。
 
社会保障協定によって、日本と協定相手国、それぞれの国の年金受給に必要な加入期間を満たしていなくても、年金加入期間の通算によって年金を受け取れます。
 
日本年金機構のホームページに記載されている、社会保障協定の発効状況(2022年6月1日時点)は図表2を参考にしてください。
 
【図表2】

協定相手国 ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン

 
なお、イギリス・韓国・中国・イタリア(未発効)との社会保障協定は、保険料の二重負担防止のみです。年金加入期間の通算は現時点において認められていません。

年1回「現況届」の提出が必要

海外に移住して年金を受給できたら、それで終わりではありません。年に1回「現況届」を提出する必要があります。
 
現況届は、不正受給を防ぐために年金受給者の生存を確認するのが目的です。毎年誕生月の前月(下旬)に移住先住所へ届きます。誕生月の末日までに滞在国の日本領事館などが発行した在留証明書を添付して返送してください。
    

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海外移住者でも20歳以上65歳未満なら国民年金に任意加入できる

 
海外に移住すると、国民年金は強制扱いにならないため、納付し続ける必要がありません。
 
しかし、納付しない分だけ受け取れる年金も少なくなるため、20歳以上65歳未満の間は、本人が希望すれば国民年金に任意加入できます。
 
任意加入を希望する場合、日本での最終居住地を管轄する年金事務所もしくは市区町村窓口に相談してください。その際に以下の書類を持参しましょう。
 

●届出人の本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど
●基礎年金番号通知書、年金手帳などの基礎年金番号が分かるもの

 
国民年金に任意加入の申し出があった月から加入となります。
 

保険料を納める方法

 
海外移住者が国民年金保険料を納付する場合、以下の2つの方法があります。

●日本国内に開設済の預金口座から引き落とし
●日本国内に住む親族などの協力者が本人に代わって納付

シンプルな方法は、本人名義の預金口座から引き落とす方法です。通帳に残高があれば、自動的に納付されるので安心でしょう。
 
日本国内に住む親族などに代理で納付してもらう方法もありますが、この場合は代理人が納付を忘れると未納の状態になるので注意が必要です。
      

海外移住しても年金の受け取り・任意加入が可能

 
海外に移住しても、これまで納付した年金を受け取れます。また海外に移住すると国民年金の納付義務はなくなりますが、任意加入が可能です。
 
国民年金は老後生活を送るうえで重要な資金源です。海外移住の検討時点から、移住先での年金をどのようにするのかを考えておきましょう。手続きをすると決めたら、年金事務所などに相談してみるのがスムーズです。
 

出典

日本年金機構 海外に住んでいても国民年金に加入できますか。
日本年金機構 海外居住で現況届を提出される方、海外へ住所を移される方、海外居住で引っ越しされる方、海外居住者で海外の口座へ年金の振り込みを希望される方の手続き
日本年金機構 日本の年金を請求する場合の取り扱い
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
日本年金機構 海外居住者の年金請求
日本年金機構 社会保障協定

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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