更新日: 2022.06.10 その他年金

老後生活の支えとなる企業年金。仕組みや受け取る際の手続きについて解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

老後生活の支えとなる企業年金。仕組みや受け取る際の手続きについて解説
「年金」と一口でいっても公的年金や企業年金があり、そのなかでも企業年金はなじみのない方も多いでしょう。
 
本記事では、企業年金とはどのような制度なのか、仕組みや種類、企業年金を受け取るときの手続き方法について詳しく解説します。新社会人になり、勤め先の企業で企業年金制度がある人は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

企業年金の仕組み

企業年金は、企業が任意に設定するもので、大きく分けると確定給付型と確定拠出型の2種類があります。日本の年金制度は、基礎年金といわれる「国民年金」と、被用者年金といわれる「厚生年金」、そして「私的年金」の3階建て構造となっています。
 
私的年金のひとつである企業年金は、公的年金である「国民年金」「厚生年金」とは違い、「企業が福利厚生の一環」として設けている任意の年金制度です。したがって、会社員だからといってすべての人に企業年金があるわけではありません。

 

企業年金の種類

企業年金は大きく分けて、5つの種類に分けられます。それぞれの企業年金について見ていきましょう。
 

・確定給付企業年金

確定給付企業年金は、給付内容があらかじめ定められることから「Defined Benefit Plan(DB)」といわれます。年金資産は一括して運用され、リスクは企業が負います。
 
実施方法には、「規約型」「基金型」の2種類があり、規約型は企業等が、基金型は企業年金基金が、厚生労働大臣の承認を受けて実施します。
 

・確定拠出年金

加入者自らが拠出された掛金を運用して、その結果に基づいて給付額が決まる年金制度です。「Defined Contribution(確定拠出)」の頭文字をとって、「企業型DC(企業型年金)」ともいわれます。
 
なお、同じ確定拠出年金にiDeCoがありますが、iDeCoは「個人型年金」です。
 

・厚生年金基金

厚生年金の一部の給付を国から代行し、給付金を手厚くする「代行型」と、そこに独自の給付を上乗せする「加算型」の2種類があります。
 
しかし、社会経済情勢の変動や、バブル崩壊後の運用環境の悪化により、2014年4月1日以降の新規設立は認められていません。
 

・中小企業退職金共済制度

独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、退職金給付制度です。
 

・特定退職金共済制度

地域の商工会議所などが国の承認を受けて設立した、特定退職金共済団体が退職金を給付する制度です。
 
このように企業年金は、誰が運用するか、拠出の方法などによって多くの種類があります。

 

企業年金を受け取るときの手続き

企業年金を受け取る時期や手続き方法は、企業年金の種類によって変わります。
 
・確定給付企業年金(規約型)
60~65歳(生年月日などに応じて)だが、規約により受給開始時期は異なり、会社が窓口となる
 
・確定給付企業年金(基金型)
60~65歳(生年月日などに応じて)だが、規約により受給開始時期は異なり、企業年金基金が窓口となる
 
・厚生年金基金
公的年金支給開始年齢か60歳から受給開始となり、厚生年金基金が窓口となる
 
・確定拠出年金
60~70歳未満の任意の時期から受給開始となり、運営管理機関が窓口となる
 
・中小企業退職金共済制度
60歳以上の方が退職したときから受給資格が得られ、中小企業退職金共済事業本部が窓口となる。また、中途退職した場合は、事業主から「退職金共済手帳」を受け取り、請求書に必要事項を記載して企業年金を受け取る手続きを行う
 
・特定退職金共済制度
加入期間が10年以上の被共済者(加入事業所の従業員)が退職して年金の受給を希望したときから受給資格が得られ、各商工会議所や共済会などの事業所が窓口となる。また、中途退職した場合は、基本退職一時金と加算給付の合計額が支払われる
 
上記で挙げたのは、基本的な受給開始時期となるため、詳しくは自分が加入している企業年金を確認しましょう。

 

企業年金の注意点

企業年金は、ルールが変更されることがあるため、受給開始時期が近づいたら、今一度ルールを確認しましょう。そのほかにも、住所や名前が変わったときは、しっかりと手続きを行い、年金の加入状況を確認してください。
 
特に住所の手続きを怠ると、年金の手続きに関する書類などが受け取れなくなる可能性があります。

 

自分が加入している企業年金を正しく理解しよう

企業年金は、「企業が福利厚生の一環」として設けている任意の年金制度です。企業ごとに、企業年金の種類やルールも異なるため、まずは自分が加入している企業年金について、正しく理解する必要があります。
 
そして、年金を受け取る際には、必ず現状のルールを確認することを忘れないでください。

 

出典

企業年金連合会 企業年金制度
中小企業退職金共済事業本部 制度について 退職金
横浜商工会議所 特定退職金共済制度(新企業年金保険)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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