更新日: 2022.06.12 厚生年金
60歳以上は月収47万円を超えると減額調整される。それでも働き続けるメリットとは?
そのため「年金が減額・支給停止になっても働き続けるメリットは何?」「減額・支給停止の基準は?」など疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、年金が減額・支給停止となっても働き続けるメリットについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
年金が減額・支給停止となる「在職老齢年金制度」とは
60歳以上の方が厚生年金保険へ加入した場合に、老齢厚生年金の額が調整されるのが「在職老齢年金制度」です。
老齢厚生年金の年額を12で割った金額「基本月額」と、標準報酬月額と直近1年の標準賞与額を12で割った金額の合計「総報酬月額相当額」に応じて、年金の減額・支給停止額が決まります。
2022年4月から60〜65歳未満の基準が「47万円」に緩和
2020年5月に成立した年金制度改正法により、2022年4月から在職老齢年金の基準が緩和されました。具体的には、これまで60〜65歳未満の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以上で減額・支給停止額とされていましたが、この改正により、現行の65歳以上と同じように、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下であれば減額・支給停止は0円になりました。
改正後の基準は、図表1のとおりです。
【図表1】
基本月額と総報酬月額相当額 | 年金の減額・支給停止額 |
---|---|
基本月額と総報酬月額相当額の 合計額が47万円以下のとき |
0円(全額支給) |
基本月額と総報酬月額相当額の 合計額が47万円を超えるとき |
(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2×12 |
出典:日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み より筆者作成
つまり、今回の法改正によって、60歳以上は基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるときのみ、減額・支給停止となります。
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在職老齢年金があるのに働き続けるメリット
在職老齢年金制度によって年金の減額・支給停止があるにも関わらず働き続ける方が多いのは、働いたほうが年金の減額より収入が増えるなどのメリットがあるからです。そこで、どのようなメリットがあるのかを知ることで、働き続けるか判断がしやすくなります。
ここでは、在職老齢年金制度があるのに働き続けるメリットについて見ていきましょう。
減額・支給停止となる年金額以上の収入を稼げる
例えば、年金額が年間180万円(基本月額15万円)で標準報酬月額が28万円、標準賞与額が72万円(月6万円相当)の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計は、49万円です。基準となる47万円を超える金額となるため、減額・支給停止額は、以下のとおりです。
・(総報酬月額相当額34万円+基本月額15万円-47万円)×1/2×12=12万円
上記のとおり、年間の減額・支給停止額は12万円(月額1万円)となります。
しかし、働いて得た収入は月収が27〜29万円(標準報酬月額28万円)、賞与額は約72万円となり、年間で約396〜420万円です。
このように、在職老齢年金制度があるのに働き続けるメリットは、減額・支給停止となる年金額以上の収入を得られることです。
会社員は社会保険に加入できる
会社員は社会保険に加入できることも、在職老齢年金があるのに働き続けるメリットです。社会保険に加入すると、万が一の際に傷病手当金などの保障を受けられます。なお、健康保険料と厚生年金保険料の半分は会社負担となります。
減額・支給停止額以上の収入を稼げて社会保険に加入できることはメリット
在職老齢年金制度はありますが、働き続けたほうが多くの収入を稼げる可能性があります。年金受給開始以降、働くか迷っている方は、年金の減額・支給停止額を考慮したうえでシミュレーションをしてみるとよいでしょう。
60歳以上の方で厚生年金保険に入り勤務するか、厚生年金保険への加入が必要な会社に勤めることを考えている場合は、ここで紹介した内容を参考にしてみてください。
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー