国民年金保険料を10年間全額免除したら、将来いくらもらえる?
配信日: 2022.06.13
納付が困難な場合は、納付免除の申請をすることができます。仮に、10年間、国民年金保険料の納付を全額免除された場合、国民年金支給額がいくらになるのか計算してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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国民年金保険の申請免除
国民年金保険は、国内に住む20歳以上60歳未満の人全員に、加入と保険料の納付が義務づけられています。
加入期間は最長で480ヶ月で、満65歳から支給が開始されます。ちなみに、480ヶ月分の保険料を欠かさず納付した場合、2022年度の国民年金の満額支給額は、年間「77万7800円」です。
しかし、中には保険料の納付が困難な人もいます。そのため国民年金には、「申請免除」の制度があります。保険料納付が困難な人が申請をし、認められれば納付が免除されます。
申請免除は全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4段階に分けられ、最も納付が困難と判断されると、全額免除されます。
免除期間は、保険料を納付した期間と同様に「受給資格期間」とされ、受給資格期間が「10年以上」になると国民年金の受給権を得て、65歳から年金の支給が開始されます。
ただし、保険料の納付を免除された分は支給額から減額されます。
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保険料を10年間全額免除された場合の支給額は?
2022年度の国民年金の年間支給額の計算式は以下のようになっています。
国民年金の年間支給額=77万7800円×{全額納付済み月数+(全額免除月数×1/2)+(4分の3免除月数×5/8)+(半額免除月数×3/4)+(4分の1免除月数×7/8)}÷480ヶ月
国民年金の年間支給額=77万7800円×{全額納付済み月数+(全額免除月数×1/3)+(4分の3免除月数×1/2)+(半額免除月数×2/3)+(4分の1免除月数×5/6)}÷480ヶ月
国民年金保険料の全額免除期間が10年あった場合を考えてみましょう。
保険料を「全額納付した期間」を30年(360ヶ月)、「全額免除期間」は2009年4月以降の10年(120ヶ月)として、2022年度の年間満額支給額(77万7800円)を基準に計算します。
77万7800円×{360ヶ月(保険料を全額納付した月数)+120ヶ月(全額免除月数)×1/2}÷480=68万575円
10年の全額免除期間分は2分の1が支給されますので、満額支給額より9万7000円余りも減ってしまいます。
なお、2009年3月以前の全額免除月数における支給額は(全額免除月数×1/3)分となり、2009年4月以降よりも少なくなります。
2009年3月以前と2009年4月以降にまたがって全額免除期間がある場合、3月以前の免除月数と4月以降の免除月数に分けて、それぞれ計算する必要があります。
追納や任意加入で受給額の減少を補える
保険料の納付を10年間免除されても、その期間は「受給資格期間」とされるため、国民年金の受給権を得る障害にはなりません。しかし、免除期間が長いほど、年金支給額は減額されてしまいます。
保険料を申請免除された人は、過去10年にさかのぼって保険料の「追納」(保険料の後払い)が可能ですので、もし経済的に余裕ができたときは、追納することで将来受け取る年金を満額に近づけることができます。
また、60歳までに満額に届かないという場合、65歳になるまでは国民年金への「任意加入」も可能です。この期間を利用して保険料を480ヶ月分収めることができれば、65歳から毎年満額で年金を受け取ることができます。
免除と追納、うまく使って生活を守ろう
保険料納付が困難な場合、申請して保険料の納付を免除してもらうことで、今の生活を守ることができます。
また、申請免除期間は受給資格期間として計算されるので、満額ではなくても年金を受け取る資格を得やすくなりますし、追納も可能です。
もしも保険料を滞納した場合は、後から支払えるのは2年分だけで、滞納期間は受給資格期間にも含まれません。
保険料の納付が困難なときは滞納せず、申請をして納付を免除してもらうことが、現在と将来の生活を守る最善策といえるでしょう。
出典
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 Q&A国民年金保険料が「全額免除」、「4分の3免除」、「半額免除」または「4分の1免除」になった期間は、老齢基礎年金の額を計算するときどのように扱われますか。
日本年金機構 年金額の端数処理
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部