更新日: 2022.06.13 その他年金
公的年金を繰り下げて多く受給すると、医療費の自己負担が増加するって本当?
年金の受給開始時期を繰り下げると、毎月の年金受給額を増やせるというメリットがあります。しかし実は、年金受給額をあまり増やしすぎると、医療費の自己負担が増えてしまうというデメリットもあるのです。
年金受給開始を繰り下げる場合に、注意すべきポイントについてみていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
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年金を繰り下げて受給すると医療費の自己負担が増加は本当!
年金の受給開始年齢は65歳ですが、最大75歳まで繰り下げることができます。受給開始時期を遅らせると、遅らせた月数に応じて、毎月の年金受給額が増える仕組みになっているので、繰り下げるほどより多く年金を受給できるのです。
例えば75歳から年金を受給すると、老齢基礎年金と老齢厚生年金をそれぞれ84%ずつ増やせます。ただし、年金受給額を増やして所得が上がることによる、思わぬデメリットに注意が必要です。
70歳以上でも所得の多い方は医療費の3割を自己負担
公的医療保険を適用して治療を受ける場合、医療費の自己負担は通常3割ですが、原則として70歳以上の方は2割、75歳以上の方は1割負担になります。現役の世代よりも医療費負担が軽くなるような制度になっているのです。
しかし、所得の多い70歳以上の方は、医療費を3割自己負担しなければなりません。医療費の自己負担が2割から3割に上がるくらいでは、家計にそれほど大きな影響はないと思うかもしれません。しかし、年を取ると病院にかかることが増えるため、医療費が高額になりがちです。
通院する機会の多い方は公的年金を繰り下げて多く受給することで、自己負担割合が増え、医療費が跳ね上がってしまう可能性があります。
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2022年10月から後期高齢者の医療費自己負担を見直し
令和3年度の制度改正により、一定以上の所得がある75歳以上の方について、医療費の自己負担を2割にすることが決まりました。後期高齢者医療制度の見直しは、2022年10月から実施されます。
一定以上の所得があると医療費の自己負担割合が1割から2割に増える
2022年10月以降、75歳で一定以上の所得がある方は、医療費の自己負担割合が2割になります。「一定以上の所得がある」かどうかは、図表1のチャートに沿って、年金収入や課税所得を基に判断されます。
後期高齢者医療制度の対象者うちおよそ2割の方が、2割負担の対象となると推定されています。
【図表1】
出典:厚生労働省 後期高齢者医療制度に関するお知らせ
2025年9月末までは負担増加額を抑える配慮措置あり
75歳以上で一定以上の所得がある方は、2022年10月より医療費の自己負担額が増えることになりますが、急激な負担増を抑えるための配慮措置が用意されています。2025年9月末までは、制度改正によって増加した医療費の負担額の上限が3000円となり、それ以上負担額が増えることがありません。
後期高齢者医療制度の見直し要件に当てはまる方で、公的医療保険での高額な治療が必要となりそうな方は、受診する時期を検討してみることをおすすめします。
年金受給繰り下げは医療費の自己負担が増えることも考慮して決めよう
年を取ると体調が不安定になりがちなので、どうしても病院にかかる機会が増えてしまいます。高齢者医療制度により医療費の自己負担は安く抑えられていますが、現役世代並みに高い所得を得ている方は、医療費の3割を負担しなければなりません。
年金受給開始を繰り下げて受給額を増やすことを検討している場合は、医療費の自己負担が増える可能性について考慮する必要があります。家計の負担が増えすぎないような繰り下げ時期を選ぶことが大切です。
出典
厚生労働省 医療費の一部負担 (自己負担)割合について
厚生労働省 後期高齢者医療制度に関するお知らせ
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー