更新日: 2022.06.15 iDeCo(確定拠出年金)
年収450万です。iDeCoでどれくらい節税できますか?
iDeCoの掛け金はその人の属性によって異なります。今回は、年収450万円の人がiDeCoを利用した場合の節税効果について解説します。
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執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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iDeCoとは?
iDeCoとは、個人型確定拠出年金の略称で、原則として日本国内に住む20歳から60歳(条件を満たせば65歳)の人が加入できます。
掛け金は全額、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となるため、節税しながら老後資金を形成できる手段として、注目を集めています。
■加入資格者および掛金額
iDeCoの加入資格は国民年金の被保険者種類により、以下のように分けられています。
1.第1号被保険者
20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランスや学生など。ただし、農業者年金の被保険者や国民年金の保険料納付免除対象者は加入不可。
また、国民年金の任意加入被保険者にも加入資格あり。掛金上限は月額6万8000円となっているが、国民年金基金への加入および国民年金付加保険料を支払っている場合は、それを合算した額。
2.第2号被保険者
厚生年金被保険者。勤務先の企業型確定拠出年金に加入している場合は加入できないが、その規約でiDeCoへの加入を認めている場合は加入可能(2022年10月より要件緩和)。掛金上限は以下のとおり。
●勤務先に企業年金がない会社員:月額2万3000円
●企業型確定拠出年金のみに加入している会社員:月額2万円
●確定給付企業年金と企業型確定拠出年金両方に加入している会社員、もしくは確定給付企業年金のみに加入している会社員、または公務員など:月額1万2000円
3.第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者。掛金上限は2万3000円。
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iDeCoの節税効果
ここからは、年収450万円の人が実際にiDeCoを行った場合、どのくらいの節税効果が生まれるのかを解説します。
試算にあたり、「給与所得者、東京都在住、40歳以上、配偶者あり(専業主婦)、子どもなし」と仮定します。また、社会保険料の計算においては、雇用保険料を加味しないものとし、所得控除においても、基礎控除、配偶者控除そして小規模企業共済等掛金控除のみが適用されるものとします。
■所得税の節税効果
ではまず、iDeCoを利用しない場合の所得税額は以下のとおりです。
給与収入450万円-給与所得控除額(134万円)=316万円(給与所得金額)
316万円-社会保険料(約68万円)-基礎控除(48万円)-配偶者控除(38万円)=162万円(課税所得金額)
162万円×所得税率(5%)=8万1000円
では、勤務先に企業年金がないと仮定し、当てはまる上限額いっぱい(2万3000円)までiDeCoを利用した場合の所得税額は、どのようになるのでしょうか?
給与収入450万円-給与所得控除額(134万円)=316万円(給与所得金額)
316万円-社会保険料(約68万円)-小規模企業共済等掛金控除(27万6000円)-基礎控除(48万円)-配偶者控除(38万円)=134万4000円(課税所得金額)
134万4000円×所得税率(5%)=6万7200円
このようにiDeCoを活用することで約1万4000円の節税効果を生むことができます。
■住民税の節税効果
iDeCoの節税効果は所得税だけではありません。
課税所得金額を減少させる意味から、住民税の削減効果も得られます。
では実際に、住民税の負担はどのくらい軽減されるのでしょうか? まず、iDeCoを利用しない場合の住民税額を算出してみましょう。
給与収入450万円-給与所得控除額(134万円)=316万円(給与所得金額)
316万円-社会保険料(約68万円)-基礎控除(43万円)-配偶者控除(33万円)=172万円(課税所得金額)
172万円×所得割税率(10%)=17万2000円(所得割額)
住民税は所得割額に均等割額(5000円)を加えたものとなるため、最終的な住民税額は17万7000円です。
では、iDeCoを活用した場合の住民税額はどのくらいになるのでしょうか?
給与収入450万円-給与所得控除額(134万円)=316万円(給与所得金額)
316万円-社会保険料(約68万円)-小規模企業共済等掛金控除(27万6000円)-基礎控除(43万円)-配偶者控除(33万円)=144万4000円(課税所得金額)
144万4000円×所得割税率(10%)=14万4400円(所得割額)
最終的な住民税額:14万4400円(所得割額)+5000円(均等割額)=14万9400円
このようにiDeCoを利用することで、住民税も約3万円減少することが分かります。
所得税の減少分と合わせると、約4万4000円の節税効果が生まれています。
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まとめ
iDeCoを利用することで、所得税そして住民税の節税効果を生むほか、非課税で運用でき、受け取りの際にも受け取り方法に応じた優遇税制が適用されます。
2022年10月からは、企業型確定拠出年金加入者に対するiDeCoへの加入要件が緩和されることからも、さらに多くの人が両方の制度を利用し、節税効果を得ながら老後資金を形成することができるようになります。
興味があるならば、ぜひこの機会にiDeCoへの加入を検討することをおすすめします。
出典
(※1)国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1410 給与所得控除
(※3)全国健康保険協会 令和4年3年分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
(※4)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1199 基礎控除
(※5)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1191 配偶者控除
(※6)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
(※7)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1135 小規模企業共済等掛金控除
全国健康保険協会 ホームページ
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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