更新日: 2022.06.16 その他年金

配偶者との年齢差が大きい夫婦ほど、年金受給のときにお得! その理由とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

配偶者との年齢差が大きい夫婦ほど、年金受給のときにお得! その理由とは?
配偶者との年齢差が大きいと年金の受給額がお得になるという話を聞いたことがあるでしょうか。
 
結論からいうと条件はありますが、配偶者との年齢差が大きいほど年金受給額も増えます。なぜなら、年金には「加給年金」という制度があるからです。
 
本記事では加給年金の仕組みや条件、実際にもらえる加給年金額を解説します。配偶者との年の差が大きい人はぜひご一読ください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

配偶者との年齢差があると加給年金額が支給される

 
配偶者と年齢差があると年金支給額で得をするのは、生計を維持されている配偶者または子どもに対して加算して支給される「加給年金」という制度があるからです。年金における家族手当ともよばれることもあるので、給与に家族手当が支給されるのと同じと考えると分かりやすいでしょう。
 
なお、配偶者だけではなく、条件を満たした子どもに対しても支給されるのが加給年金制度です。
 

加給年金が支給される条件

 
加給年金は厚生年金の加入期間が20年以上の人でないと支給されません。加給年金を受給できる人は、老齢厚生年金受給者であることが前提で、さらに下記の条件を満たした方になります。
 

●厚生年金保険に20年以上加入
●65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳未満の子どもがいる

 
なお、生計を維持しているというのは、以下の条件を満たしている必要があります。
 

●同居していること(別居していても仕送りをしている、健康保険の被扶養者であるなどの場合は認められる)
●前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満であること

 
なお、配偶者が65歳に到達したとき、子が18歳超となったとき、生計が維持されなくなったとき(離婚、死亡など)に加給年金は支給停止されます。
 
さらに、以下のケースもあります。

●配偶者に老齢(退職)年金が支給されている場合

 
配偶者の老齢年金が一部でも支給されている場合はもちろんですが、在職による支給停止等で全額支給停止となっていても、加給年金は支払われないので注意しましょう。
 

具体的な加給年金額

 
加給年金額は図表1のように対象者によって一律に定められています。
 
【図表1】

対象者 加給年金額(年額) 年齢制限
配偶者 22万3800円 65歳未満
1人目・2人目の子 1人あたり22万3800円 18歳到達年度の末日(3/31)までの子
または1級・2級の障害の状態にある
20歳未満の子
3人目以降の子 1人あたり7万4600円 同上

出典:日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
また、配偶者の場合は、年齢によって特別加算額が図表2のように加算されます。
 
【図表2】

配偶者の生年月日 特別加算額
(年額)
総額
(加給年金額+特別加算額)
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 3万3100円 25万6900円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1 6万6000円 28万9800円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 9万9100円 32万2900円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 13万2100円 35万5900円
昭和18年4月2日以後 16万5100円 38万8900円

出典:日本年金機構 加給年金額と振替加算
 

年齢差が大きいほど加給年金額も大きくなる

 
加給年金額は、対象者別に一律で支給されます。また、図表2のとおり、配偶者に対する特別加算額は年齢によって差がありますが、昭和18年4月2日以後の生まれから特別加算額は一律になります。つまり支給額そのものには年齢差でお得になる要素はありません。
 
年齢差が大きいほど加給年金額がお得になる理由は、支給に年齢制限があるため支給総額に違いが出るためです。
 

年間あたりの金額が同じでも、もらえる年数が違う

 
支給に年齢制限があることで、年齢差が大きいほど夫が65歳に達してから配偶者が65歳になるまでの期間は長くなります。
 
配偶者と夫が同じ年齢であれば、同時に65歳に達するので加給年金の支給はありません。しかし、年齢差が10歳あれば10年間は加給年金の支給を受けられます。
 
これが配偶者との年齢差が大きいほど、年金受給でお得になる理由です。
 

年齢差ごとの具体的な支給金額の差

 
それでは、具体的に年齢差によってどれくらい支給額に差があるのか、図表3でご確認ください。
 
【図表3】

年の差 加給年金額(累計) 年の差5歳との差額
5歳 194万4500円
10歳 388万9000円 194万4500円
15歳 583万3500円 388万9000円

※加給年金額は、配偶者が昭和18年4月2日以後生まれの特別加算を含んだ年間38万8900円として計算
 
特別加算を含んだ加給年金額は月にすると約3万2000円ですが、15年間もらい続けると約583万円という大きな金額になります。
 
これは、年齢の差が大きいほどお得だということが実感できる金額です。
 

年齢差が大きいと加給年金額の給付年数が長くなることで得をする

 
年齢差の大きい夫婦ほど、加給年金額の給付年数が長くなるので、受け取れる加給年金の総額が多くなります。
 
また、配偶者が年下の夫婦の子どもはまだ若い可能性が高いため、配偶者だけではなく子どもの加給年金も加算される可能性があります。2人目までは配偶者と同じ加算額になるので、加算が倍増することになります。
 
しかし、加給年金は黙っていてももらうことはできず、申請が必要です。加算の可能性がある方はねんきんダイヤルや年金事務所で手続き方法を確認しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 か行 加給年金額
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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