親が60歳で年金を受け取ると言っています。満額受給よりいくら減るのでしょうか?

配信日: 2022.06.24

この記事は約 5 分で読めます。
親が60歳で年金を受け取ると言っています。満額受給よりいくら減るのでしょうか?
年金の受給開始は65歳ですが、開始時期を繰り上げて、早く年金をもらいたいと考える方も多いようです。しかし、年金の受給開始を繰り上げると、毎月もらえる年金額が少なくなってしまう点に注意しなければなりません。
 
例えば、親が60歳で年金を受け取ると言っている場合、年金額は満額受給の場合と比べていくら減るのでしょうか? 年金開始を繰り上げた場合の年金受給額について、詳しく見ていきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老齢基礎年金・老齢厚生年金は60歳から繰上げ受給できる

年金の受給開始は65歳となっていますが、例えば、60歳で定年退職するような場合は、65歳まで待たずに60歳から年金を受給したいと考えるケースも多いのではないでしょうか。早く年金をもらえば、より多くの年金を受給できるように思えますが、実は、そうではありません。
 
年金の受給開始時期を繰り上げると、毎月の受給額が少なくなり、受給できる年金の総額がかえって少なくなってしまう可能性があるのです。
 

老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始は原則65歳

年金の受給資格がある方は、原則として65歳から老齢基礎年金・老齢厚生年金を受給できます。なお、年金の受給資格は、年金の保険料を支払った期間と保険料を免除された期間の合計が10年以上あることが条件です。
 
受給開始は必要に応じて、繰り上げ・繰り下げが可能で、一番早くて60歳から、最大で75歳まで設定できます。
 

年金を繰り上げて受給すると期間に応じて年金が減額される

年金の受給額は年金に加入していた期間によってそれぞれ決まっていますが、受給開始を繰り上げ・繰り下げすると、受給額が変わります。
 
年金を早く受給し始めると、繰り上げた期間に応じて年金額が減ります。一方、年金受給開始時期を繰り下げると、繰り下げた分だけ年金の額が増えます。
 
つまり、年金受給開始を早くすれば、その分、毎月もらえる年金額が少なくなってしまうのです。しかも、受給開始を繰り上げることで減額された年金は、その後一生変わりません。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

年金を繰上げ受給した場合の年金受給額の算出方法

65歳になる前に年金を繰上げ受給した場合、毎月もらえる年金受給額が少なくなり、年金額はその後ずっと少ないままになってしまいます。したがって、年金受給開始の繰り上げを検討する場合は、年金額が減ることを考慮したうえで決めることが大切です。
 
では、受給開始を繰り上げると、どれくらい年金額が減るのでしょうか? 具体的な算出方法を見てみましょう。
 

繰上げ受給で減額される年金額の計算式

年金開始を繰り上げると、繰り上げた期間に応じて、年金受給額が減額されます。具体的には、年金受給を開始した月から、65歳に達する日の前月までの月数に0.5%または0.4%をかけた値が、年金の減額率です。
 
1962(昭和37)年4月1日以前に生まれた方は、ひと月あたりの減額率が0.5%、同年4月2日以降に生まれた方は、ひと月あたりの減額率が0.4%となっています。
 

【繰上げ受給した場合の年金の減額率】

繰り上げた月数:受給開始月から65歳に達する日の前月までの月数

●1962(昭和37)年4月1日以前に生まれた方
減額率=0.5%×繰り上げた月数

●1962(昭和37)年4月2日以降に生まれた方
減額率=0.4%×繰り上げた月数

 

繰上げ受給した場合の年金減額率の早見表

繰上げ受給した場合の年金減額率は、繰り上げた月数によって決まります。月数に応じた年金の減額率は、図表1、2で確認できます。
 
例えば、1965年生まれの方が62歳の誕生月から年金を受給する場合、請求時の年齢が62歳0ヶ月になるので、年金の減額率は14.4%です。
 
図表1
1962(昭和37)年4月1日以前に生まれた方の年金減額率
 

 
出典:日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
図表2
1962(昭和37)年4月2日以降に生まれた方の年金減額率
 

 
出典:日本年金機構 年金の繰上げ受給
 

親が60歳で年金を受け取る場合、満額受給よりも最大で3割減!

年金を繰上げ受給する場合の年金減額率データをもとに、具体的な年金受給額を計算してみましょう。
 
ここでは、「親が60歳で年金を受け取ると言っている場合」について、受け取れる年金の額が満額受給する場合と比べてどれくらい減るかを考えていきます。生年月日によって月ごとの減額率が変わるので、誕生日が1962(昭和37)年4月1日以前の場合、同年4月2日以降の場合について、それぞれ計算します。
 

親の誕生日が1962(昭和37)年4月1日より前の場合

老齢基礎年金を満額受給できる方が、60歳で繰上げ受給するケースを考えてみます。
 

老齢基礎年金の満額:6万4816円(2022年度、月額)
受給開始:60歳0ヶ月
減額率:30%

 

【60歳で繰上げ受給すると満額受給よりいくら減るか?】

6万4816円 × 30% = 1万9445円(月額)

 
年金受給額は、満額受給よりも1万9445円少なくなります。
 

親の誕生日が1962(昭和37)4月2日以降の場合

老齢基礎年金を満額受給できる方が、60歳で繰上げ受給するケースを考えてみます。
 

老齢基礎年金の満額:6万4816円(2022年度、月額)
受給開始:60歳0ヶ月
減額率:24%

 

【60歳で繰上げ受給すると満額受給よりいくら減るか?】

6万4816円 × 24% = 1万5556円(月額)

 
年金受給額は、満額受給よりも1万5556円少なくなります。
 

60歳で年金を受け取ると受給額がいくら減るかを把握しておこう

年金の受給開始時期を繰り上げるかどうかは、老後の生活設計をするうえでとても大きな問題です。定年退職後の生活を安定させるために繰上げ受給を検討する場合は、繰り上げることで受給額がいくら減るかを把握しておきましょう。
 
特に、60歳で年金を受け取る場合は最大で30%も年金受給額が減額されてしまうので、よく考えて受給開始時期を決めることが大切です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集