更新日: 2022.06.24 その他年金

4月の年金制度改正。働きながら年金を受給する人が気を付けた方がいいこととは?

4月の年金制度改正。働きながら年金を受給する人が気を付けた方がいいこととは?
4月から年金制度が改正されたことは知っていても、自分にはどのような影響があるのかについては、具体的に把握できていない人も多いのではないでしょうか。
 
今回の年金制度改正のなかには、働きながら年金を受給している人に影響がある内容もあります。ここでは、4月からの年金制度改正で、働きながら年金を受給する人に影響する改正点を2つ取り上げて、改正の内容や考えられる注意点などをまとめました。年金制度の新しいルールを改めて確認して、自分への影響の把握に役立ててください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

在職老齢年金の支給停止基準額の緩和

「在職老齢年金」とは、在職して給与などの報酬をもらいながら老齢厚生年金も並行して受給する場合に、総報酬月額相当額(※)と年金の基本月額との合計額が基準を超えると年金の一部または全部が支給停止となる制度です。
 
※その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額〔賞与額から1000円未満を切り捨てた金額(上限150万円)〕の合計を、12ヶ月で割った金額
 
年金制度改正前の令和4年3月までは、年金が支給停止となる年金の基本月額と総報酬月額相当額のボーダーラインは、次のように設定されていました。
 

《改正前のボーダーライン》

●60~65歳未満:28万円
●65歳以上:47万円

 
しかし、令和4年4月からの改正された制度では、60~65歳未満の人の基準が緩和され、65歳以上と同様の47万円となりました。
 

《改正後のボーダーライン》

●60~65歳未満、65歳以上ともに47万円

 
そのため、60~65歳未満の人で年金が支給停止にならない報酬額の範囲に抑えて働いていた人は、年金を全額受給しながら稼げる幅が、以前よりも拡大したことになります。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

在職定時改定がスタート

在職定時改定とは、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者が在職して厚生年金保険に加入している場合に、年金額が毎年1回見直される制度です。
 
この制度が設けられたことにより、厚生年金保険料を納めても退職を待たなければ年金額に反映されなかったものが、1年ごとに最新の保険料納付状況を反映して再計算した額に更新されることになりました。
 
在職定時改定の制度では、毎年9月1日を基準日として、基準日時点で厚生年金保険の被保険者であれば、翌月10月分の年金から金額が改定されます。
 
なお、退職などで9月1日前に被保険者の資格を喪失し、9月1日をまたいで1ヶ月以内に新たに被保険者の資格を取得した場合は、特例的に在職定時改定の対象となります(例:8月20日資格喪失、9月10日資格取得)。
 
在職定時改定で注意しなければならないのは、年金額が再計算されて金額が上がることで、在職老齢年金の年金支給停止の基準を超える可能性がある点です。基準を超えた場合は、年金の基本月額が上がっても、支給停止によってもらえる金額は上がらないケースも考えられます。
 

このほかの年金制度の変更点

働きながら年金を受給する人に大きく関係する在職老齢年金の基準緩和、在職定時改定の新設のほかにも、令和4年4月の年金制度改正では、次の変更が行われました。
 

●繰下げ受給の上限年齢引き上げ
●繰上げ受給の減額率引き下げ
●加給年金の支給停止規定の見直し
●国民年金手帳の廃止と基礎年金番号通知書への切り替え

 
繰下げ受給の年齢について、上限が70歳から75歳に引き上げられたことにより、繰下げ受給開始時期を柔軟に選択できるようになりました。令和4年3月31日時点で70歳に達していない方(昭和27年4月2日以降生まれの方)、または受給権を取得した日から5年経過していない方が対象となります。
 
一方で繰上げ受給の減額率も、従来の1ヶ月あたり0.5%から0.4%に変更されています(昭和37年4月2日以降生まれの人のみ)。これにより、繰上げ受給選択時の年金額減額による負担が従来よりも軽くなりました。
 
加給年金の変更点は、対象となる配偶者に老齢(退職)年金の受給権がある場合の、支給停止におけるルールです。従来の年金支給の有無により支給可否が決まるルールから、年金支給の有無にかかわらず支給停止となるルールに変更されたため、該当する人は注意しましょう。
 
年金手帳が廃止され基礎年金番号通知書の発行へと切り替えられたことも、大きな変更点です。これにより、国民年金制度または被用者年金制度の新規加入時や既存の年金手帳の紛失時には年金手帳は発行されず、基礎年金番号通知書が発行されるようになりました。
 

在職老齢年金と在職定時改定について改めて確認しておこう

令和4年4月からの年金制度改正によって、働きながら年金を受給する人に大きな影響が出る可能性があるのは「在職老齢年金の支給停止基準の緩和」「在職定時改定の新設」の2つです。以前のルールとはどこが変わったのか、自分にはどのような影響があるのかを改めて確認しましょう。
 
また、ほかの変更点についても合わせて確認して、実際に影響が出たときに「知らなかった」と慌てなくてよいようにしておくと安心です。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
日本年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました
日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました
日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 は行 標準賞与額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集