年収2000万ある会社員は老後の年金額は毎月いくらもらえるの?
配信日: 2022.08.15
それでは、例えば年収が2000万円の会社員の場合、毎月の保険料と定年後の年金額はそれぞれいくらになるのでしょうか。詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収2000万円の人の厚生年金保険料
厚生年金の保険料は毎月の給与と年間の賞与にそれぞれ18.3%の保険料率をかけることで計算できます。ただし、いくつか注意するべきポイントがあります。1つは保険料率をかける際、毎月の給与額は標準報酬月額として等級に分けられている、ということです。
例えば、1等級は月収9万3000円までで標準報酬月額は8万8000円になります。2等級は9万3000円から10万1000円までで標準報酬月額は9万8000円です。この標準報酬月額に保険料率をかけて導き出された金額が保険料となるのです。
次に、この等級は32等級までしかありません。32等級の標準報酬月額は65万円で、月収63万5000円以上の人は全てこの等級になります。仮に年収2000万円でボーナスがなかった場合、月収は約167万円です。そのような場合でも、等級は32、保険料は11万8950円(事業者との折半額は5万9475円)になります。
賞与の場合も月収と同じく最大で150万円という上限があります。この賞与は年に3回までです。賞与が年に4回以上あった場合には、賞与ではなく報酬月額に組み込んで計算されます。年収2000万円の人の1000万円分がボーナスだったとしても、保険料として計算されるのは最大で450万円、年間の保険料は82万3500円(事業者との折半額は41万1750円)です。
こうしたことから、年収2000万円の人が毎年支払う厚生年金保険料は「5万9475円×12ヶ月+41万1750円」で112万5450円になります。
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月収2000万円の人の厚生年金受給額
それでは、厚生年金の受給額は一体いくらになるのでしょうか。厚生年金の受給額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」です。このうち、ほとんどの金額を報酬比例部分が占めることになります。報酬比例部分は平成15年3月以前の加入期間と平成15年4月以降の加入期間で金額が異なるので注意が必要です。
平成15年3月以前の加入期間の報酬比例部分は「厚生年金に加入していた全期間の平均報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月までの加入月数」で求めることができます。平成15年4月以降の加入期間の報酬比例部分を求める計算式は「厚生年金に加入していた全期間の平均報酬月額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入月数」です。
仮に年収2000万円の人が平成15年4月以降に厚生年金に加入し、40年間ずっと年収2000万円だったとしましょう。その場合、年収2000万円の人は最大でも等級32、150万円のボーナスが3回になります。
そのため、厚生年金に加入していた全期間の平均報酬月額は「65万円+450万円÷12ヶ月」なので102万5000円です。その結果「102万5000円×5.481÷1000×480ヶ月」で269万6652円が報酬比例部分となります。これは、1ヶ月当たり22万4721円となります。
年収2000万円の人でも受給額はそれほど高額にはならない?
年収2000万円の人が受け取る厚生年金支給額は、報酬比例部分の最大額で1ヶ月当たり22万4721円です。厚生労働省が発表した「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の平均受給額は約14万4000円となっています。
この金額に令和4年度の満額の老齢基礎年金(国民年金)6万4816円(月額)を足すと、1ヶ月当たり28万9537円となります。そう考えると、年収2000万円だからといって厚生年金の受給額が極端に高くなるわけではないといえるのかもしれません。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部