10月から始まるパートタイマーの健康保険・厚生年金保険の適用拡大って?

配信日: 2022.09.13

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10月から始まるパートタイマーの健康保険・厚生年金保険の適用拡大って?
2022年10月より、パートタイマーの健康保険・厚生年金保険加入基準が改正されます。それに伴い、これまで社会保険の対象外だった方々も、社会保険に加入することになる場合があります。
 
加入要件がどのように変わるのか、これまで入れなかった方が加入するメリット等を見ていきましょう。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

これまでのパートタイマーの社会保険加入の基準とは?

パートタイマーの社会保険の加入基準は、原則として、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働時間が正社員の4分の3以上で、それに該当すれば加入できます。
 
例えば、正社員が1日8時間・週5日である会社では、1日6時間で週に5日勤務する場合や、1日8時間で週4回勤務する場合のパートタイマーは、社会保険の加入対象となります。これは労働時間数のみで判断されますので、収入は関係ありません。仮に健康保険の扶養範囲である130万円未満の収入であっても、労働時間が4分の3以上であれば加入することになります。
 
ただし、2016年10月から被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所は「特定適用事業所」と呼ばれ、パートタイマーに対する、社会保険の適用拡大の事業所があります。
 
その場合、下記の要件をすべて満たす場合はパートタイマーでも、社会保険に加入しなければなりません。
 

(1) 週の所定労働時間が20時間以上
※週の所定労働時間が週によって異なる場合は、週平均で判断します。
 
(2) 雇用期間が1年以上見込まれる
 
(3) 賃金の月額が8万8000円以上である
 
(4) 学生でない

 
また、2017年4月1日以降、特定適用事業所以外の事業所が労使合意に基づいて、任意特定適用事業所の申し出ができます。よって、500人以下の会社でも、上記の要件に該当するパートタイマーは社会保険に加入できます。
 

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2022年10月の改正点は?

2022年10月の改正では、「特定適用事業所」が、被保険者の総数がこれまでの「常時500人を超える」から「常時100人を超える」事業所となります。これによって中小企業にも拡大されます。
 
また、上記(2)の「雇用期間の1年以上の見込み」は「2ヶ月超の見込み」と改正されます。それ以外の週の所定労働時間、賃金月額、学生でないという要件は変わりません。
 

具体的にはどうなるの? メリット・デメリットは? 注意点は?

要件を満たして加入することになった場合、保険料の基礎となる標準報酬月額は、通勤手当や残業代、その他の手当ても対象となるので注意が必要です。
 
また、標準報酬月額の決定方法は、その方のひと月の労働日数によって、表1のように算定方法が変わってきます。
 
【表1】
 

 
また、今後の改正では2024年10月から、「特定適用事業所」は被保険者の総数が常時100人を超える事業所から50人を超える事業所となり、さらに対象が広がります。
 
社会保険への加入のメリットは、厚生年金保険に加入することで老後の年金額が増えることです。また、健康保険に加入することで、病気等により休業した場合に休業保障を得ることができます。
 
デメリットとしては、保険料の発生による負担です。特に、配偶者の扶養の範囲内で働くパートタイマーが、社会保険に加入すべきかどうか迷うというケースが考えられます。つまり、それまで配偶者の扶養であった場合、これまでゼロだった保険料を負担することになります。また、会社によっては配偶者の会社で支給されていた配偶者手当がなくなる場合も考えられます。
 

目先の収入も大事ですが……

パートタイマーで働いている方のなかには、教育費や家のローン等にお金がかかる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、将来的なことを考えると、社会保険料を負担しメリットを享受したほうがよい場合もあります。
 
目先の収入も大事ですが、先のことを見通してトータルで考えることをお勧めします。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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