厚生年金保険料は安い? 高い?「労使折半」をどう考える?
配信日: 2022.11.08
本記事では、公務員や会社員が加入する厚生年金保険について、厚生年金保険料は得なのか・損なのかを保険料の負担方法に関する2つの考え方を用いて検証します。厚生年金保険の仕組みも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公務員や会社員は厚生年金に加入
年金には国民年金と厚生年金の2種類があり、対象者の職業などにより図表1の通り加入する年金が異なります。
図表1
区分 | 第一号被保険者 | 第二号被保険者 | 第三号被保険者 |
---|---|---|---|
対象者 | 自営業者や学生・その配偶者 | 会社員・公務員 | 第二号被保険者に扶養される配偶者(専業主婦(夫)など) |
加入年金 | 国民年金 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金 |
日本年金機構HPより筆者作成
基本的に、自営業者などは国民年金に加入し、公務員や会社員は国民年金と厚生年金に加入します。
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公務員や会社員は年金受給額が多い
公務員や会社員などの第二号被保険者は国民年金と厚生年金に加入するため、自営業者など国民年金のみにしか加入しない第一号被保険者に比べて年金受給額が一般的に多いです。
受け取る年金が多い分、納める保険料も多いですが、公務員や会社員は老後により多くの年金を受給できます。
公務員や会社員の年金保険料は労使折半
公務員や会社員などの第二号被保険者は、年金保険料の全額を自分で納めているのでしょうか? 実は、第二号被保険者の年金保険料は勤務先の会社と被保険者自身との折半です。これを労使折半と呼びます。
例えば年金保険料が月額3万円の場合、自身で負担する保険料は月額1万5000円です。問題は、この労使折半をどう考えるかで、考え方は主に2種類あります。
1つ目は、「会社が保険料を半分も負担してくれるなんてすてきな制度だ。自分の負担は少なく、将来もらえる年金が増えるのはありがたい」という考え方です。
2つ目は、「会社が保険料を負担するといっても、そのお金は従業員が稼いだ売上から拠出されている。本来給与としてもらえるべきお金を会社が代わりに保険料として払っているだけで、お得な制度とは言えない」という考え方です。
皆さんはどちらの考え方がしっくりくるでしょうか? 会社が保険料の半分を負担する制度でなかった場合、保険料分のお金を給与として従業員に支給するかどうかは会社によって方針が異なるでしょう。そのため、一概にどちらの考え方が正しいとは言えません。
ただし、現状の保険料負担方法には労使折半が採用されています。
損得をシミュレーション
1990年生まれ、22歳~60歳まで年収500万(月収約42万)の東京都勤務中小企業会社員として勤務し、65歳から年金を受け取る場合をシミュレーションします。
65歳からの目安年金受給額は、年間約178万円です。勤務期間中に支払う保険料は、年間約45万円(会社負担分を合わせて約90万円)です。
2020年の日本人平均寿命は約85歳ですので、20年間年金を受給すると総受給額は約3560万円です。一方で、納める年金保険料は個人負担分が38年間で約1710万円、会社負担分を合わせると約3420万円となります。
個人負担分のみで考えるとかなりお得な制度ですが、会社負担分も含めるとそこまでお得な制度とは言えません。
老後を見据えて計画的にお金を貯めよう
厚生年金保険について解説しました。年金は老後の生活に欠かせない制度ですが、受給額によっては十分と言えません。年金受給額をシミュレーションし、不足分を自分で補えるように計画的な資産形成を検討しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金はどのような人が加入するのですか。
東京都 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 公的年金シミュレーター
Data Commons 日本
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部