更新日: 2022.11.30 その他年金

「年金受給前」に亡くなったわが子。受け取れなかった年金はどこへ……?

執筆者 : 柘植輝

「年金受給前」に亡くなったわが子。受け取れなかった年金はどこへ……?
亡くなった方が本来受け取るべきであった年金の行方について気になっている方は、いらっしゃいませんか?
 
今回は年金を受け取る前に亡くなった子の年金の行方を事例に年金の行方について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

行方1 未支給年金

年金には未支給年金というものがあります。未支給年金とは、年金を受け取っていた方が、実際にその年金の支給を受ける前に亡くなってしまった場合、その年金を本人に代わり遺族へ支給する制度です。
 
未支給年金は、その方の亡くなった当時、その方に生計を維持されていた方のうち下記の順番で最も上位にある遺族に支給されます。

(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹 
(7)上記以外の3親等内の親族

未支給年金を受け取るには年金事務所または街角の年金相談センターにて請求手続きを行う必要があります。詳細についてはねんきんダイヤルまたは年金事務所にご相談ください。
 

行方2 遺族年金

亡くなった子に生計を維持されていた方がいらっしゃれば、遺族年金がその方へ支給されます。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
 
基本的に死亡時の職業が自営業や無職であれば遺族基礎年金が支給されます。会社員などで厚生年金に加入していれば遺族厚生年金が支給されます。遺族年金にも優先順位があり、生計を維持されていた方の中から優先順位で一番高い順位の方に受給権が発生します。
 
遺族基礎年金の優先順位は下記のようになっています。

・子のある配偶者
・子

※子とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をいいます。
 
そのため、基本的に親は子が亡くなったことを理由として遺族年金を受け取ることができません。
 
また、遺族厚生年金の優先順位は下記のようになっています。

(1)妻
(2)子
(3)夫
(4)父母
(5)孫
(6)祖父母 

遺族基礎年金の請求は原則住所地の市区町村役場へ、遺族厚生年金の請求は年金事務所および街角の年金相談センターとなります。
 

行方3 死亡一時金

36月以上国民年金の第1号被保険者として保険料を納めていた方が、年金を受け取ることなく亡くなった場合、その方に生計を維持されていた遺族の方は死亡一時金を受給できる場合があります。
 
受給できるのは下記のうち最も優先順位の高い方になります。

(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹

支給される金額は保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円となります。
 
なお、遺族年金が支給される場合、一時金は支給がされません。死亡一時金を受け取るには本人の死亡日の翌日から2年以内に請求手続きをしなければならないため早めの手続きが必要です。
 

年金受給前に亡くなった子の年金は誰も受け取れないこともある

年金というのは本来65歳から受け取るものです。生計を維持されている遺族がいるなど特定の状況ではない限り、65歳前に亡くなった方の年金は誰も受け取ることができず、これから年金を受け取る誰かに支給される原資となっていきます。
 
そのため、亡くなった子に生計を維持されていた方が誰もいないような場合、年金受給前に亡くなった子の年金は誰も受け取れないということも珍しくありません。
 

年金の行き先は生計を維持されている方がいるかどうかで変わる

年金受給前に子が亡くなってしまった時、その子に生計を維持されている方がいればその方に一時金など何らかの形で支給されます。
 
しかし、それらは所定の手続きをしなければ受け取れないことがあったり、受け取れる方の範囲に制限がかかったりしていることもあります。
 
また、実際年金の行き先がどのようになるかは個別の事情によって異なります。年金受給前に亡くなった子の年金の行き先が気になってしまった場合、年金事務所や街角の年金センターなどへ年金について相談してみてください。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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