「WPP理論」を駆使しよう! 労働と確定拠出年金・公的年金を上手に活用!
配信日: 2022.11.30
本記事では、年金の受給開始時期や公的年金と私的年金の組み合わせなどについて、今注目の「WPP理論」をまじえて解説します。平均寿命が延びている現代におすすめの考え方です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公的年金は75歳まで受取時期を遅らせることが可能に!
私たちは、原則、国民年金や厚生年金に加入しています。年金は65歳から受け取ることが基本ですが、受給開始時期を早めたり遅らせたりすることが可能です。
今までは60歳~70歳で受給開始時期を選択できましたが、2022年4月より60歳~75歳に変更となりました。受給開始時期を早めれば年間受給額は減額、遅らせれば増額します。
例えば1990年生まれ、22歳~60歳まで年収500万(月収約42万)の東京都在住、中小企業会社員の65歳からの目安年金受給額は、年間180万円です。受給開始時期ごとの年間受給額は図表1の通りです。
図表1
受給開始年齢 | 受給率 | 年間受給金額目安 |
---|---|---|
60歳 | 76.0% | 137万 |
61歳 | 80.8% | 145万 |
62歳 | 85.6% | 154万 |
63歳 | 90.4% | 163万 |
64歳 | 95.2% | 171万 |
65歳 | 100% | 180万 |
66歳 | 108.4% | 195万 |
67歳 | 116.8% | 210万 |
68歳 | 125.2% | 225万 |
69歳 | 133.6% | 240万 |
70歳 | 142.0% | 256万 |
71歳 | 150.4% | 271万 |
72歳 | 158.8% | 286万 |
73歳 | 167.2% | 301万 |
74歳 | 175.6% | 316万 |
75歳 | 184.0% | 331万 |
日本年金機構HPより筆者作成
75歳まで受給を遅らせれば、年間受給額は1.84倍となり多額の年金を受け取れます。
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確定拠出年金は60歳~75歳までで受け取る
近年、企業型DC(企業確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった自分で運用する年金を利用する方が増えています。確定拠出年金は自分で運用したお金を受け取るため、公的年金のように生きている限り同額を受け取り続けるわけではありませんが、若いうちに老後の生活費を貯めるための良い手段と言えます。
確定拠出年金の受け取り開始時期は、原則60歳~75歳で、一時金か年金として受給できます。公的年金と違い、受取時期を遅らせることで自動的に受給額が増える仕組みはありません。
WPP理論とは?
近年注目されている「WPP理論」とは、「長く働く(Work Longer)」、「確定拠出年金などの私的年金(Private Pensinons)」、「国民年金や厚生年金などの公的年金(Public Pensions)」の頭文字を取った考え方です。
定年後も長く働いた後に、まずは私的年金を取り崩す。その後、公的年金で生活することを指します。具体的には、以下のような生活スタイルが考えられます。
1.定年退職後も、69歳まで再雇用などで働いて収入を得る。
2.70歳~74歳まではiDeCoや企業型DCを取り崩して生活する。
3.75歳から国民年金や厚生年金の受給を開始する。
国民年金や厚生年金の、受給開始を遅らせるほど年間受給額が増える仕組みを活用した方法です。
公的年金の受給開始を遅らせられるかが鍵
国民年金や厚生年金は、受給を遅らせるほど年間受給額が増えます。65歳から年間180万円を受給予定の方は、75歳に受給を遅らせることで年間331万に増額します。年間331万円受給できれば、年金だけで生活できる方も多いのではないでしょうか? そのため、WPP理論では、75歳まで年金を使わずに生活することが重要です。
もちろん、65歳から1年だけでも受給を遅らせることができれば、十分に効果はあります。若いうちから老後を見据えて計画を立て、資産を確実に貯めていきましょう。
ゴールが明確だと、日々の行動も変わってきます。ゆとりのある人生を送るためにも、ぜひ計画を立ててみてください。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 公的年金シミュレーター
厚生労働省 確定拠出年金制度が改正されます
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部