「遺族年金」はどんな制度?「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の違いや受給要件を解説

配信日: 2022.12.06

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「遺族年金」はどんな制度?「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の違いや受給要件を解説
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者または被保険者であり一家の生計を維持していた人が亡くなった場合に、残された家族の生活を保障する制度です。しかし、遺族年金の受給要件によってはまったく受け取れないこともあります。
 
本記事では、遺族年金制度について、受給要件やどんな人が受け取れるかを解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

遺族年金の制度とは

遺族年金は、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。年金の加入状況などによっては、どちらかまたは両方を受給できます。
 

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者などであった人が、受給要件を満たしていることで、亡くなった人に生計を維持されていた家族である「子のある配偶者」または「子」が受給できる制度です。「子」は、18歳になった年度の3月31日までの人、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人が対象となります。
 
遺族基礎年金の受給要件は、「国民年金の被保険者期間中」「国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある場合」「老齢基礎年金の受給権者」「老齢基礎年金の受給資格権者」のうちいずれかの要件で死亡した場合に満たします。
 
遺族基礎年金は、「配偶者に子がいない場合」や、「子が婚姻している場合」は受給対象外です。夫婦共働きの場合でも、生計が同じであり、受給する側の前年の年収が850万円未満、または所得が655万5000円未満の人は受給対象となります。また別居していても仕送りしていたり、健康保険の扶養親族などが認められたりすると生計を同じくしているとみなされます。
 

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者などであった人が、受給要件を満たしていることで、亡くなった人に生計を維持されていた遺族が受給できる制度です。
 
遺族厚生年金の受給要件は、「厚生年金の被保険者期間中」「厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがを原因として5年以内」「障害等級1級または2級で障害厚生(共済)年金を受け取っていた場合」「老齢厚生年金の受給権者」「老齢厚生年金の受給資格権者」のうちいずれかの要件で死亡した場合に満たします。
 
遺族厚生年金の受給対象者は、「妻」「子」「夫」「父母」「孫」「祖父母」のうち優先順位が高い人が受給できます。それぞれの受給対象者の順位は図表1のとおりです。
 
図表1

受給対象者 補足
第1位 子のある妻 なし
子のある55歳以上の夫 60歳から受給開始。ただし遺族基礎年金と併せて受給できる場合、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できる
婚姻しておらず、18歳になった年度の3月31日までの人、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人が対象
子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、受給できない
第2位 子のない妻 子のいない30歳未満の妻は5年間のみの受給
子のない55歳以上の夫 60歳から受給開始。ただし遺族基礎年金と併せて受給できる場合、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できる
第3位 55歳以上の父母 60歳から受給開始
第4位 婚姻しておらず、18歳になった年度の3月31日までの人、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人が対象
第5位 55歳以上の祖父母 60歳から受給開始

出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)より筆者作成
 

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遺族年金の年金額

遺族基礎年金や遺族厚生年金の年金額は図表2のとおりです。
 
図表2

年金の種類 受給年金額
遺族基礎年金 子のある配偶者:77万7800円+子の加算額(※1)
子:77万7800円+2人目の子の加算額(※1)
遺族厚生年金 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3(※2)

出典:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)、遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)より筆者作成
 
※1 加算額は、1人目と2人目の子の場合は各22万3800円、3人目以降の子の場合は各7万4600円
※2 報酬比例部分は、平均標準報酬月額×7.125÷1000×2003年3月までの加入月数+平均標準報酬額×5.481÷1000×2003年4月以後の加入月数で計算
 

遺族年金を知っておくことで万が一に備えられる

遺族年金は、被保険者の受給要件を満たすと同時に、受給資格を満たすことで受け取れます。年齢や子の有無、厚生年金に加入しているかどうかで受給年金額も変わってしまいます。
 
正しく遺族年金の制度を理解しておくことで、万が一死亡した場合に備えられます。遺族年金で保障されない部分は、生命保険に加入して必要な保障を必要な期間だけ準備することで、大切な家族を守ることができるでしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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