年金を60歳で受け取ると「損」って本当? 「健康寿命」や「減額率」とあわせて考えてみよう
配信日: 2022.12.08
とはいうものの、「60歳で年金を受給し始めると損をする」といううわさを聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は年金を60歳で繰上げ受給すると本当に損をするのかについて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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60歳で年金を受給すると損をするといわれる理由とは?
60歳で年金を受給すると損をするといわれる理由としては、受け取れる年金額が減額になることが挙げられます。減額になる年金額は受給開始時期によって変動します。
具体的な減額率は受給開始を1ヶ月早めるごとに0.4%(昭和37年4月2日以降生まれの人)もしくは、0.5%(昭和37年4月1日以前生まれの人)となっています。つまり、60歳0ヶ月で受給開始を選択すると、「60ヶ月×0.4%(もしくは0.5%)=24%(30%)」も減額されてしまうわけです。
仮に65歳からの年金受給額が月に15万円の人の場合、「15万円×24%=3万6000円」も減額します。しかも、この受給額は生涯にわたって変更されることはない上、受給時期を再度変更することもできません。例えば、繰上げ受給を選択したあとに、「思っていたよりも生活が大変だから、もう一度働こう」と考えても、もらっている年金を停止して再び65歳からもらうようなことはできないのです。
また、繰上げ受給をする場合、国民年金と厚生年金は必ず同時に繰り上げなければいけないという決まりもあります。そのため、どちらかの年金を取りあえずもらっておくというようなこともできません。厚生年金には報酬比例部分があり、具体的にどれぐらいの金額が減額されるかを一概にいうことはできないものの、繰上げ受給を選択するかどうかは自らのライフプランをもとにしっかりと考えて決めることが重要です。
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繰上げ受給が絶対に損をするというわけではない
年金を繰上げ受給するのは基本的にデメリットが大きいですが、メリットがまったくないわけではありません。
繰上げ受給を選択した場合に得られるメリットとしては、「健康なうちに年金を受給できる可能性が高い」ことが挙げられます。厚生労働省の資料によると、日本の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳です。また、日常生活を支障なく送れる目安となる健康寿命は、男性72.14歳、女性74.79歳となっています。
引退後の過ごし方として、年金を使って趣味や旅行などを楽しみたいと考えている人もいるでしょう。65歳から年金を受け取ると、健康寿命まで男性は約7年、女性は10年ほどしか余裕がありません。繰上げ受給を選択して60歳から年金を受け取ることで、さらに5年ほど猶予が生まれます。
特に持病があるなど体調面に不安がある方は、減額されるとしても繰上げ受給を選択したほうがよいケースもあることは覚えておきましょう。
いつから受け取るかを事前にシミュレーションしておこう
年金を60歳から受け取ると減額されるため、「繰上げ受給をすると損をする」と考える人がいるのも事実です。
しかし、人間の価値観は人それぞれで、たとえ減額されても年金を早くもらって趣味やお金に使うことを選択するのも決して悪いことではありません。大切なのは定年後のライフプランをしっかりと描いた上で、受給時期を決めることです。
年金をいつから受け取るかは安定した老後を送るためにとても大切な問題なので、事前にシミュレーションをするなど、よく検討しておきましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部