60歳以降に初めて確定拠出年金に加入。老齢給付金はいつから受け取れる?
配信日: 2022.12.22
本記事では、「60歳より前にDC制度に加入している場合」と「60歳以降に初めてDC制度に加入した場合」を比較して、老齢給付金の受け取り時期について解説します。
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執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。
60歳より前にDC制度に加入している場合の老齢給付金の受け取り時期
60歳より前にDC制度に加入していた場合、老齢給付金がいつから受け取れるのかは以下の3つの期間から判断されます。
・加入者期間
企業型DCまたはiDeCo加入者の資格を取得した月から、資格を喪失した月の前月までの期間が加入者期間です。企業型DCであれば、例えば「入社した月」「加入を申し出た後、次の年度が始まる月」などから、規約に記載されている「加入者の資格喪失の時期の前月」までの期間を意味します。
入社後に会社が企業型DCを導入し、すぐ加入した場合は入社した月にさかのぼって加入者資格の取得月とみなされるのかどうか、人事担当部署または企業型DCの運営管理機関に問い合わせてください。
・運用指図者期間
個人別管理資産(年金資産)の残高がある期間のうち、企業型DCまたはiDeCoの加入者でない期間のことです。DC制度の加入後に掛金を納付(拠出)し続けていれば、加入後の全期間が加入者期間となるため運用指図者期間は生じません。
・通算加入者等期間
60歳到達時点での「企業型DC加入者期間」「企業型DC運用指図者期間」「iDeCo加入者期間」「iDeCo運用指図者期間」を合算した期間です。企業型DCだけに加入し、かつ60歳より前に中途退職しない人であれば、加入者資格を取得した月から60歳に達するまでの期間、という意味になります。
受給開始可能年齢
この「通算加入者等期間」に応じて、60歳より前にDC制度に加入している場合に老齢給付金の受け取り時期(受給開始可能年齢)が決まります。受け取れる年齢は次の6パターンです。
●通算加入者等期間が10年以上であれば、受給開始可能年齢は60歳
●8年以上10年未満であれば61歳
●6年以上8年未満であれば62歳
●4年以上6年未満であれば63歳
●2年以上4年未満であれば64歳
●1ヶ月以上2年未満であれば65歳
老齢給付金の受給開始可能年齢が最も早いのは通算加入者等期間が10年以上ある人で、60歳から受給可能となります。一方、受給開始可能年齢が最も遅くなるのは通算加入者等期間が1ヶ月以上2年未満の人で、65歳から受け取ることが可能です。
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60歳以降に初めてDC制度に加入した場合の老齢給付金の受け取り時期
60歳以降に初めてDC制度に加入した場合、「加入した日から5年経過した日以降」に老齢給付金を受け取ることができます。前述のとおり、通算加入者等期間が1ヶ月以上2年未満の人の受給開始可能年齢は65歳です。これに該当する人は「60歳から少なくとも5年間」は老齢給付金を受け取れないことになります。
このため、加入可能年齢を拡大する法改正が行われた際、通算加入者等期間がなく60歳以降に初めてDC制度に加入する人も、「加入から少なくとも5年間」は老齢給付金を受け取れないよう法制化されました。
この2022年5月施行の加入可能年齢の拡大により、要件を満たせば企業型DCは70歳に達するまで、iDeCoは65歳に達するまで加入できるようになりました。さらに厚生労働省は、iDeCoの加入可能年齢も70歳まで引き上げることを検討中です。
60歳以降に初めてDC制度に加入する場合は掛金の総額を増やすためにも、また受給開始可能年齢を遅くしないためにも、早めの加入をおすすめします。
出典
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
厚生労働省 2020年の制度改正 企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大
厚生労働省 資産所得倍増プラン等について
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー