年金受給者が毎年提出する「扶養親族等申告書」とは?

配信日: 2022.12.26

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年金受給者が毎年提出する「扶養親族等申告書」とは?
老後に受け取る公的年金にも税金がかかることがあります。公的年金から所得税が源泉徴収される可能性のある人には、日本年金機構から毎年9月頃に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下、扶養親族等申告書)が送付されます。
 
扶養親族等申告書を提出しないと、扶養控除などを受けられず損をすることもあるので注意が必要です。
 
本記事では、扶養親族等申告書について解説します。提出が不要な人や提出を忘れたときの対処法なども紹介しますので、申告書が送付された人は参考にしてください。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

扶養親族等申告書の目的

公的年金は受給額(年金収入)から各種所得控除を差し引いた課税対象額に税率をかけて計算します。扶養親族等申告書を提出する目的は、年金収入から差し引ける「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」などを申告するためです。

・配偶者控除:38万円~48万円(本人所得900万円以下)
・配偶者特別控除:配偶者の所得によって3万円~38万円(本人所得900万円以下)
・扶養控除:38万円~63万円

扶養親族等申告書の提出によって、翌年度に年金から源泉徴収される税額が、各種所得控除などを反映して安くなります。
 

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扶養親族等申告書が送付される人

老齢年金を受け取っている人の中で、扶養親族等申告書が送付されるのは年齢によって次の通りです。

・65歳未満:老齢年金の受給額が108万円以上の人
・65歳以上:老齢年金の受給額が158万円以上の人

上記に該当しない人は、年金収入から基礎控除や公的年金等控除を差し引くと年金所得が0円になる人です。各控除額は次の通りです。

・基礎控除:48万円(所得2400万円以下)
・65歳未満の公的年金等控除:60万円(所得1000万円以下、年金額130万円未満)
・65歳以上の公的年金等控除:110万円(所得1000万円以下、年金額330万円未満)

65歳以上の人の場合、基礎控除が48万円、公的年金等控除が110万円であるため、年金額が158万円未満ならば所得が0円で税金はかかりません。
 

扶養親族等申告書の提出が不要な人

扶養親族等申告書が送付された人でも、次に該当する人は申告書の提出は不要です。

・会社員の人
・所得控除が受けられない人 など

会社員の人は、年末調整のときに扶養親族等申告書を会社に提出するのが一般的であるため、所得控除を二重に受けないように、日本年金機構から送付される申告書は提出しないようにしましょう。
 
また、扶養親族がいないなどで所得控除を受けられない人は、提出してもメリットはありません。
 

扶養親族等申告書の提出を忘れたときの対処法

扶養親族等申告書は、翌年2月以降に支給される公的年金の源泉徴収額に反映(扶養控除などがあれば所得税が安くなる)されます。提出が遅れると提出前に支給される公的年金から余分な所得税が差し引かれてしまうため、早めに提出しましょう。
 
ただし、遅れて提出した場合、余分に支払った所得税は次の公的年金支払い時に戻ってきます。
 
扶養親族等申告書を提出せずに、確定申告で扶養控除等を申告することも可能です。扶養控除などが反映しないため源泉徴収額は大きくなりますが、確定申告すれば払いすぎた所得税が還付されます。
 

扶養親族等申告書の目的を理解し必要な人は必ず提出しよう

扶養親族等申告書を提出すると、配偶者控除や扶養控除が受けられるため源泉徴収される所得税額が安くなります。
 
本記事を参考に、扶養親族等申告書の提出が必要かどうかを確認し、所得控除が受けられる人は忘れずに申告書を提出しましょう。
 

出典

日本年金機構 「令和5年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の送付
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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