うつ病で「障害年金」はもらえる? 認定基準は厳しいって本当? 支給金額についても解説

配信日: 2022.12.26

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うつ病で「障害年金」はもらえる? 認定基準は厳しいって本当? 支給金額についても解説
障害年金は、公的年金制度の被保険者や被保険者だった人が、病気やけがで障害を負った場合に要件を満たすと受給することができます。
 
障害については身体的なものだけでなく、精神疾患やがんなどの疾病に起因する障害も含まれます。
 
うつ病も精神的疾患ですので、要件を満たしている場合は当然、障害年金の支給対象となります。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

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障害年金の構成

障害年金も、老齢年金と同様に1階部分の国民年金(障害基礎年金)と2階部分の厚生年金(障害厚生年金)があり、症状を障害認定基準(1級~3級)に照らして審査が行われます。症状の程度に応じて、重い方から1級・2級・3級となっています。
 
≪精神障害者保健福祉手帳の等級≫

1級:精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
 
2級:精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
 
3級:精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

障害厚生年金は、障害年金に該当する障害等級1級から3級まで支給対象ですが、障害基礎年金は1級と2級だけで、3級は対象外です。また、障害厚生年金の1級・2級に該当する人は、要件に当てはまれば障害基礎年金と障害厚生年金を合わせて受け取れます。
 
≪障害年金の受給額(令和4年4月分~)≫
 
【図表1】 (1)障害基礎年金

障害の程度 受給額 子1人当たりの加算額
1級 97万2250円 1人目と2人目:各22万3,800円
3人目以降:各7万4600円
2級 77万7800円

筆者作成
 
【図表2】 (2)障害厚生年金

障害の程度 受給額 配偶者加給年金(※)
1級 報酬比例の年金額×1.25 22万3800円
2級 報酬比例の年金額
3級 報酬比例の年金額
最低保証額:58万3400円
なし

筆者作成
 
※報酬比例の年金額について、被保険者期間の月数が300月に満たない場合は300月に換算。
(※)受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。
 
例えば、平均標準報酬額(賞与込みの平均月収)が30万円で、厚生年金の被保険者期間が平成15年4月以降で10年間(240月)の人が障害等級2級となった場合、受給額は以下のとおりです。
 
障害厚生年金額=30万円×5.481/1000×300月=49万3290円
 
(3)障害手当金
厚生年金保険の加入期間中に初診日がある傷病が治ったとき、3級よりも軽い程度の障害が残った場合は、厚生年金から一時金(障害手当金)が支給されます。
 
障害手当金=報酬比例の年金額×2(最低保証額116万6800円)
 

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障害年金の受給要件

(1)障害基礎年金

・初診日
障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師の診察を受けた日を初診日とします。例えば、最初の病院で誤診され、その後に別の病院で正しい病名に変わった場合には、最初の病院で診断を受けた日が初診日になります。
 
うつ病の場合などは、正しい診断結果が出るまでにいくつも病院を変わるなど、時間がかかることもありますので注意が必要です。
 
・保険料納付要件
原則、初診日の前日で、初診日が属する月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が3分の2以上であることが必要となります。
 
特例として、初診日が令和8年4月1日前であり、初診日において65歳未満の場合、初診日前日で初診日が属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければいいとなっています。
 
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料の納付要件は不要です。
 
【図表3】


※筆者作成
 

(2)障害厚生年金

初診日や保険料の納付要件については障害基礎年金と同様です。
 
ただし、障害基礎年金では20歳前や60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合も対象となりますが、障害厚生年金にはこの受給要件はなく、初診日に厚生年金被保険者であることが必要です。
 

障害年金の受給手順

障害年金の請求は、主に次のような手順となります。

(1)初診日の確認
(2)障害年金の受給要件をチェック
(3)申請に必要な添付書類を取得(医師の診断書、受診状況等証明書、住民票など)
(4)年金請求書に必要事項を記入して提出

障害年金では、特に初診日が重要になります。初診日が証明できれば、遡及(そきゅう)請求により過去の分までさかのぼって受け取れることもあります。逆に初診日の証明ができないと、障害があっても障害年金を受け取ることができません。
 
例えば、初診時は厚生年金被保険者であったが、障害が原因で退職し、数年後に障害年金を請求しようとしたとき、初診日を証明できなければ障害厚生年金は受給できません。
 

まとめ

うつ病の場合などでは、正しい診断を受けるまでに時間を要する、自身での手続きや他人に依頼することができないなど、障害年金の請求が行われていない例が相当数あるようです。
 
申請の手続きなどが難しいケースでは、障害年金を専門としている社会保険労務士に相談するのが得策です。
 

出典

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 精神障害者保健福祉手帳
日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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