60歳で「企業型DCの加入者資格」を喪失。受け取らずに「iDeCo」に移せる?

配信日: 2022.12.30 更新日: 2023.01.04

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60歳で「企業型DCの加入者資格」を喪失。受け取らずに「iDeCo」に移せる?
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員が、60歳に到達するなどして加入者でなくなると、「加入者資格を喪失したので老齢給付金(年金または一時金)を受け取れます」という案内が運営管理機関から届きます。ここで老齢給付金を受け取らずに、年金資産を個人型確定拠出年金(個人型DC、愛称 iDeCo)に移すことができるか、ご存じですか?
 
本記事では、企業型DCの加入可能年齢、定年制の現状、iDeCoの加入可能年齢について解説した上で、企業型DCの加入者資格を喪失したときにiDeCoへと資産を移せるかについて説明します。

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福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

企業型DCの加入可能年齢

企業型DCは当初、60歳に達するまで加入できる制度として施行されました。その後、加入可能な年齢が2014年1月に65歳まで、さらに2022年5月には70歳まで引き上げられました。
 
ただし、65歳、70歳という基準はあくまで法律上の上限であり、実際の加入可能年齢は労使合意のもとで定める規約により企業ごとに異なります。制度を所管する厚生労働省は加入可能年齢の実態を公表していませんが、2013年以前に企業型DCを導入した企業の多くは、「60歳に達するまで」加入できるという当初の規定を変更していないと考えられます。
 
また、2014年以後に企業型DCを導入した企業の多くは、定年の年齢に合わせて加入可能年齢を定めているのが一般的です。
 

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定年制の現状

厚生労働省「就労条件総合調査(2022年)」によれば、定年制を定めている企業の割合は約94%。そのうち、職種別などではなく一律に定年の年齢を定めている企業は約97%に上るとのことです。さらに、そのうち「60歳定年」の企業は約72%と、過半数を占めています。
 
このことから、企業型DCの規約において、「60歳に達するまで」加入できると定めている企業が多いと思われます。
 

iDeCoの加入可能年齢

企業型DCと同様、iDeCoも「60歳に達するまで」加入できる制度として施行されました。その後、2022年5月には65歳に年齢上限が引き上げられています。
 
ただし、誰もがiDeCoに加入できるわけではなく、国民年金の被保険者であることなどの要件を満たす必要があります。加入できるかどうかは、国民年金基金連合会やiDeCo運営管理機関のウェブサイトなどを参考に確認できます。
 

60歳で企業型DCの加入者資格を喪失したとき、受け取らずにiDeCoに移せる?

さて、本題に戻りましょう。60歳で企業型DCの加入者資格を喪失したとき、老齢給付金を受け取らずに、企業型DCの年金資産をiDeCoに移す(移換する)ことができます。
 
移換を希望する場合、60歳に達する前からiDeCoに加入していれば、iDeCoの運営管理機関に企業型DCの年金資産を移換したい旨を申し出ましょう。iDeCoにまだ加入していない方は、加入要件を満たしているかを確認した上で、手続きの際に企業型DCからの移換についても問い合わせましょう(いずれにしても、移換の手続き先は企業型DC運営管理機関ではなく、自分が選んだiDeCo運営管理機関です)。
 

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まとめ

2022年5月のiDeCoの加入可能年齢引き上げによって、60歳で企業型DCの加入者資格を喪失した後のiDeCoへの移換が選択肢の一つになりました。2022年12月に決定した与党税制改正大綱には、iDeCoの加入可能上限年齢を70歳に引き上げる方針が盛り込まれたこともあり、企業型DCからiDeCoへの移換は今後増えていくことも予想されます。
 

出典

厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 結果の概況
国民年金基金連合会 iDeCo(イデコ)をはじめるまでの5つのステップ
 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー

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