更新日: 2023.01.05 その他年金
「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」は何年加入すればもらえる? 種類ごとに保険料の納付要件を解説
この記事では、年金の種類ごとに保険料納付要件を解説します。いざというときに、必要な年金が受け取れるように、保険料納付の重要性を理解しておきましょう。
執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士・FP2級
保険料納付要件とは
保険料納付要件(以下、納付要件)は、年金を受給するための要件(受給要件)の1つです。主な公的年金は「老齢年金」と「遺族年金」、「障害年金」の3つですが、納付要件は年金の種類ごとに異なります。納付要件を満たしているかどうかは、次の3つの期間を合計して判断します。
●保険料納付済期間
●保険料免除期間
●合算対象期間
「保険料納付済期間」は、国民年金や厚生年金など全ての年金制度で「保険料を納付した期間」を合計して計算します。
「合算対象期間」とは、保険料は支払っていないが納付要件にカウントできる期間のことです。年金制度上、以前は国民年金に加入できなかったり強制加入ではなかったりしたため未加入であった期間などが該当します。以下の解説では、3つの期間を合わせて「保険料納付済期間」と記載します。
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老齢年金の納付要件
老齢年金を受け取るには、保険料納付済期間が10年以上必要です。2017年8月、老齢年金の納付要件は「25年以上」から「10年以上」に短縮されました。
老齢年金は原則65歳から受け取りますが、次に該当する厚生年金加入者は65歳より前に厚生年金を受給できます。この年金を「特別支給の老齢厚生年金」といいます。
●昭和36年4月1日以前に生まれた男性
●昭和41年4月1日以前に生まれた女性
年金開始年齢は、性別や生年月日によって異なります。上記に該当する人が特別支給の老齢厚生年金を受け取るには、次の納付要件が必要です。
●保険料納付済期間が10年以上
●厚生年金の加入期間が1年以上
遺族年金の納付要件
遺族年金の納付要件は、亡くなった人の死亡時期によって異なります。ケースごとに解説します。
年金制度に加入中に亡くなった場合の納付要件は、「保険料納付期間が、原則20歳(※)から死亡日の前々月までの期間の2/3以上ある」ことです。この場合、保険料納付期間に合算対象期間は含まれないので注意しましょう。
※20歳未満で厚生年金に加入していた場合はその期間も含めます。
年金受給中の人が亡くなった場合の保険料納付要件は、「保険料納付期間が25年以上(合算対象期間を含む)あること」です。老齢年金は10年、遺族年金は25年と覚えておきましょう。
障害年金の納付要件
障害年金の納付要件は、「保険料納付期間が、原則20歳(※)から初診日の前々月までの期間の2/3以上ある」ことです。初診日とは、障害の原因となった病気やけがなどで初めて病院で受診した日をいいます。
※20歳未満で厚生年金に加入していた場合はその期間も含めます。
上記要件を満たさない場合でも、2026年3月までの「納付要件の特例」に該当すれば納付要件を満たしたことになります。特例の要件は次の通りです。
●初診日の年齢が65歳未満
●初診日の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がない
なお、障害年金の納付要件は初診日の前日、遺族年金の納付要件は死亡日の前日で判定されるため、それ以降に保険料を納付してもカウントされません。
必要な年金を受給できるように保険料はきちんと納付しよう
公的年金を受け取るためには、年金の種類ごとに異なる保険料納付要件を満たさなければなりません。納付要件を簡単にまとめると次の通りです。
●老齢年金を受給するための保険料納付済期間は10年、遺族年金は25年
●障害年金や年金加入中の死亡に対する遺族年金は加入期間の2/3以上の保険料納付
いざというときに必要な年金が受け取れるように、保険料はきちんと納付しましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級