更新日: 2023.01.13 国民年金

国民年金の「付加年金」はどんな制度? メリットとデメリットを解説

国民年金の「付加年金」はどんな制度? メリットとデメリットを解説
国民年金は付加保険料を支払うことで、将来受け取る年金よりも多く年金を受給できます。本記事では、付加年金の制度や、そのメリットとデメリットについて解説していきます。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

付加年金とは

付加年金とは、国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者が国民年金の保険料に月額400円の付加保険料を納付することで、付加した月数に応じた割増年金額を受給できる制度です。付加年金の申し込みは、市区役所や町村役場の国民年金窓口や、全国の年金事務所で行えます。
 
なお付加年金は、国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者が対象となるため、厚生年金保険や共済組合に加入している第2号被保険者や、第2号被保険者に扶養される配偶者の第3号被保険者は加入できません。
 

付加される年金額

付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で計算し、2年以上受け取ることで納付した付加保険料以上の年金が受給できます。国民年金の加入可能年数は40年で、満額受給で年額77万7800円です。付加年金の加入可能年数も国民年金と同じとなるため40年となります。
 

付加年金額

200円×40年×12ヶ月=9万6000円

 
付加年金額は老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。
 

老齢基礎年金に付加年金額を上乗せした受給額

77万7800円+9万6000円=87万3800円

 
つまり付加年金を支払った場合、月額で受け取れる金額は7万2816円となります。これは年金の繰上げ受給や繰下げ受給をせずに65歳から受け取る場合の金額です。
 

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付加年金のメリット

次に、付加年金のメリットを3つ紹介します。
 

付加保険料は2年以上で元が取れる

付加保険料を40年間納付した場合の金額は19万2000円です。付加年金の満額受給が9万6000円で、2年以上受け取ることで納付した保険料以上となるため、短期間で元が取れるといえるでしょう。
 
なお65歳前に亡くなると、納付した付加保険料は戻らないため注意が必要です。
 

繰上げ受給や繰下げ受給が適用される

老齢基礎年金を繰上げ受給、または繰下げ受給したとしても、付加年金は適用されます。例えば、繰下げ受給して75歳から受け取れば増額率84%となりますが、60歳から繰上げ受給すると24%の減額率となるため気をつけましょう。
 

付加保険料の所得控除が全額受けられる

付加保険料は国民年金保険料と同じ扱いとなるため、全額が社会保険料控除の対象となります。そのため、確定申告することで所得控除を受けられます。
 

付加年金のデメリット

続いて、付加年金のデメリットを2つ紹介します。
 

国民年金基金との併用ができない

すでに国民年金基金に加入している場合は、付加保険料を納付することができません。もし国民年金を増やすために国民年金基金や付加年金などを検討している場合は、どちらか選択する必要があります。
 
なお付加保険料の納付をやめる場合、「付加保険料納付辞退申出書」を提出する必要があります。
 

iDeCoと併用すると拠出上限額が少なくなる

iDeCoと付加保険料は併用することができます。しかし、iDeCoの拠出限度額が減るため注意が必要です。iDeCoの掛け金は1000円単位となるため、月額6万8000円が6万7000円の拠出、年額81万6000円が81万1000円の拠出となり、月払いよりも年払いの方が多く拠出されます。
 

付加年金を活用した老後準備の検討を

付加保険料は、市区役所や町村役場などで申し込めば簡単に納付可能です。国民年金を増やす方法としては、一定の効果もあります。
 
しかし、付加年金だけではゆとりある老後生活を賄うことは難しいため、iDeCoや小規模企業共済なども併せて検討する必要があるでしょう。
 

出典

日本年金機構 付加年金

日本年金機構 付加保険料の納付のご案内

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

 
執筆者 : 古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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