更新日: 2023.04.13 その他年金

「月10万円」の年金を受け取りながら働くと、年金額が「減る」って本当? 働いて稼ぐ意味はあるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「月10万円」の年金を受け取りながら働くと、年金額が「減る」って本当? 働いて稼ぐ意味はあるの?
60歳以降に定年を迎えても仕事を辞めず「生涯現役」で働き続ける人も増えています。年金は原則65歳から受け取れるため、年金と給料など複数の収入を得るケースも多いです。例えば年金を10万円もらいながら、会社員として働いて月収40万円得ている場合、年金は減額されるのでしょうか。
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働いて収入を得ると年金を減らされる!?

老齢基礎年金や老齢厚生年金は、給与所得等の収入がある場合でも受け取ることができます。ただし給料等にあたる総報酬月額相当額と年金の基本月額の合計が47万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になります。これを在職老齢年金制度といいます。
 
あくまで影響を受けるのは老齢厚生年金の部分で、老齢基礎年金は収入の規模に関わらず全額支給されます。
 
具体的にどのように計算されるのでしょうか。在職老齢年金の計算対象にはボーナスも含まれ、年1回支給される場合は12で割った数字が「1ヶ月あたりのボーナス支給額」として算入されます。
 

●老齢基礎年金:月額6万円
●老齢厚生年金:月額4万円
●ボーナスを含む給与:月額40万円

 
上記の場合は、老齢厚生年金と給与をあわせて月額44万円で47万円を超えないため、支給停止の対象になりません。老齢厚生年金も全額支給され、収入は合計50万円です。
 

●老齢基礎年金:月額6万円
●老齢厚生年金:月額10万円
●ボーナスを含む給与:月額40万円

 
一方、上記のように老齢厚生年金のみで毎月10万円の収入がある場合、老齢厚生年金と給与をあわせて月額50万円となり、47万円を超えてしまいます。
 
支給停止額は「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」で計算されるため、「(50万円-47万円)÷2」となり、1万5000円減額されます。
 
以前の制度では65歳未満の場合、基本月額と総報酬月額相当額合わせて28万円を超える場合に、一部または全部の停止がされていました。ただし、それでは老後の就労意欲をそぐのではないかといった意見もあり、2022年(令和4年度)4月から47万円を超える場合に適用されることになりました。
 

働いて稼ぐ意味はある?

「年金を減らされるなら働く意味はあるの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。確かに、本来もらえるはずの年金の支給を停止されるのは不満に感じるでしょう。
 
ただし、老後も働いて年金と合わせて月47万円以上稼ぐことは、デメリットばかりではありません。70歳まで厚生年金に加入し続けることで、将来もらえる年金が増えるからです。
 
仮に月40万円で10年間働いた場合、どのくらい増えるのでしょうか。
 
老齢厚生年金額は2003年(平成15年)4月以降の加入期間の場合「平均標準報酬額×5.481/1000×加入期間の月数」で計算できます。
 
平均標準報酬額が40万円、加入期間月数が120月(10年)とすると「40万円×5.481/1000×120月」となり、年間26万3088円増えます。月額では約2万2000円です。
 
2022年(令和4年)4月から「在職定時改定」が導入され、65歳以上で働く場合も毎年10月に年金額を改定し、それまで納付した保険料が年金額に反映されるようになりました。
 
改正前は70歳になるまで年金額は改定されず、定年後も働くことによるメリットをすぐに受けられませんでした。そのため改正後は就労意欲向上や家計基盤の強化が図られるとされています。
 

まとめ

本記事では、年金を受け取りながら働く場合について解説しました。働いて稼ぎすぎると年金を減らされてしまいますが、年金は老後にもらえるお金だけではありません。病気やけが、死亡など万一の事態が発生した場合に受け取れる障害年金や遺族年金の存在もあります。
 
定年後も長く働いて厚生年金保険料を納めることで、障害厚生年金や遺族厚生年金の給付額も増加します。働ける間は働いて将来の年金額や障害年金や遺族年金の受給額を増やす、もし働けなくなったら年金を受け取るといった「保険のような役割やイメージ」で考えてみてもいいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ

日本年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 は行 報酬比例部分

厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方_第10_在職老齢年金・在職定時改定

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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