更新日: 2023.04.13 その他年金

年収は600万だけど、老後の「最低生活費」として年金を月に20万もらうことはできる?

執筆者 : 柘植輝

年収は600万だけど、老後の「最低生活費」として年金を月に20万もらうことはできる?
老後は最低限の生活費だけでも年金で賄いたい。そう考えている方も多いはず。実際、筆者の元にも「私は最低限の生活費分の年金がもらえるのですか?」という相談は度々寄せられます。
 
そこで、年収600万円の方の事例を基に、月20万円年金をもらうことができるか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月20万円の年金を受け取ることは厚生年金でも難しい

一般的に国民年金と厚生年金とでは、厚生年金の方が多くの金額を受け取ることができます。しかしながら、厚生年金でも月に20万円受け取るというのはそう簡単ではありません。
 
厚生労働省の年金シミュレーターにて下記の条件で試算してみます。

・1970年10月1日生まれ
・会社員(厚生年金)
・23歳から65歳まで就労
・その間年収が600万円

上記条件で試算しても、受け取れる年金は月額でおよそ18万3333円となり、20万円には少々届きません。
 
ただし、配偶者の年金と合わせれば20万円を超えられるでしょう。国民年金でも月額6万4816円(令和4年度の満額)受け取ることができます。年収600万円の夫と専業主婦の妻という夫婦であれば夫婦合わせて月20万円の年金を得ることが可能です。
 
しかし、現在の年収が600万円であったとしても、過去の年収や将来の年収が600万円を下回る場合は難しくなります。厚生年金の支給額は厚生年金に加入していた期間やその間の平均年収とおおむね比例していくからです。
 
特に今後自営業やフリーランスに転身し厚生年金から脱退する期間が生じる場合は年金額が減少するおそれもあるため注意が必要です。
 

自営業者などの場合月20万円の年金をもらうことは難しい

自営業者やフリーランスなど長期間国民年金のみに加入されていたという場合、月20万円の年金を得ることは困難でしょう。国民年金は年収に関わらず一定額で、支給額は満額でも夫婦合わせて13万円に満たないことになります。
 
厚生年金に加入している期間が多少あったとしても同様です。
 

現実的なのは年金以外で老後収入を確保すること

年収600万円といえば世間の平均以上の収入を得ていることになります。そんな方が厚生年金に加入していても20万円という年金収入を得ることは、配偶者の年金を含めない限り困難です。
 
単身であるなど配偶者の年金収入が期待できない方において老後の最低生活費が20万円となりそうな場合、現実的に考えると年金以外の収入や貯蓄も含めて20万円を確保するべきでしょう。
 
具体的にはiDeCoやつみたてNISAといった税制優遇のある制度を使って効率よく資産形成し、それらの取り崩しで年金の不足分を確保します。その他にも株式や投資信託といった金融商品などの配当金で不足分を補うというのも有効です。
 

ライフプランの見直しも重要

厳しいことではありますが、年収600万円で老後の生活費が最低限月に20万円と考えるのであればライフプランの見直しが重要になってきます。
 
年金だけでは20万円の収入確保が難しいことが分かった以上何らかの対応が必要です。人によってはiDeCoやつみたてNISAなどで対応しても難しいこともあるかもしれません。
 
具体的には下記のような点の検討を通じてライフプランの見直しをするといいでしょう。

・老後の最低生活費は本当に20万円も必要なのか
・老後も多少なりとも働き、収入をより多く、長く得ることはできないか
・現在の生活費を下げ老後に回すことはできないのか
・転職などで現在の収入を増やして老後への備えに回せないか

 

年収600万円で将来の年金20万円を期待するのは難しい

年収600万円という場合、夫婦合わせてならともかく1人で年金だけで月に20万円収入を得ることは難しいでしょう。
 
老後の最低限の生活費として20万円の収入が欲しいというのは決してぜいたくな金額ではありません。しかし、年金だけでは高いハードルであるのも事実です。
 
現在年収600万円前後で老後20万円の生活費が最低限必要だと考えている方は、今一度自身のライフプランについて、どうしたら安定した老後を送ることができるのか検討をしてみてください。
 

出典

厚生労働省 公的年金シミュレーター
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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