更新日: 2023.04.16 厚生年金

【厚生年金編】年金は損か得か? 「9年」受け取れば保険料の元が取れる?

【厚生年金編】年金は損か得か? 「9年」受け取れば保険料の元が取れる?
公的年金は、老後働けなくなった世代を現役世代が働いて納めた保険料によって支える仕組みです。
 
そのため、将来さらに少子高齢化が進むことによって「もらえる年金額が少なくなるのではないか」「今保険料を払っても、老後払った分の年金をもらえず損するだけなのでは」と考え、年金保険料を支払いたくないと感じている人も多いようです。
 
実際、年金に加入することは得なのでしょうか、それとも損なのでしょうか。本記事では、会社員が加入する厚生年金について、何歳まで年金を受け取れば元が取れるのか解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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何歳まで生きれば年金保険料の元が取れるか試算

現役時代に支払う年金保険料と老後に受け取る厚生年金(老齢厚生年金)をもとに、何歳まで年金を受け取れば支払った保険料の元が取れるのか計算していきましょう。
 
今回は20~60歳までの40年間、会社員として厚生年金保険料を納め、65歳から年金を受け取る場合について考えます。
 

厚生年金保険料の自己負担額は?

厚生年金の保険料は収入によって異なります。収入を32等級に分けた標準報酬月額に保険料率をかけた金額が毎月の保険料となり、その保険料のうち半分を支払います(残りの半分は勤め先の会社が負担します)。
 
ここでは、標準報酬月額を30万円として考えてみましょう。令和5年度時点での保険料率は18.3%のため、
 
30万円×18.3%=5万4900円
 
と計算でき、標準報酬月額30万円の人の厚生年金保険料は月5万4900円で、そのうち半分を会社が負担しますから、自己負担額は月2万7450円となります。
 
月2万7450円を40年間納め続けると考えて、
 
2万7450円×12ヶ月×40年=1317万6000円
 
よって、40年間で支払う厚生年金保険料は1317万6000円となります。
 

将来の年金受給額は?

続いて、年金受給額について考えてみましょう。
 
平成15年以降に働き始めた場合、老齢厚生年金の受給額を求める式は、
 
平均標準報酬額×0.005481×厚生年金加入月数
 
で求めることができます。今回は賞与がないものとして、平均標準報酬額を30万円と考えます。
 
30万円×0.005481×40年×12ヶ月=78万9264円
 
ということで、1年に78万9264円の厚生年金を受け取れる計算です。
 
厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれていますから、会社員として40年間年金保険料を支払い続けた人は、国民年金も満額受け取れることになります。厚生労働省の発表によると、令和5年度の国民年金の満額は月額6万6250円で、1年に79万5000円の国民年金を受け取ることができます。
 
先ほど求めた厚生年金受給額と国民年金受給額を足すと、
 
78万9264円+79万5000円=158万4264円
 
ということで、1年に158万4264円の年金を受給できる、という計算になります。
 

何年で保険料分の元が取れる?

現役時代に支払う厚生年金保険料の総額は1317万6000円、老後受け取れる年金は年額158万4264円ということで、
 
1317万6000円÷158万4264円=約8.32年
 
8年強年金を受け取ることで、現役時代に支払った保険料分の元を取ることができると分かりました。65歳から年金を受け取るとすると、73歳まで生きられれば元が取れることになります。
 

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まとめ

平均標準報酬月額30万円の人が40年間厚生年金保険料を納め続け、65歳から年金を受け取る場合、73歳まで受け取ることができれば支払った保険料の元が取れると分かりました。
 
厚生労働省の令和3年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性は87.57歳と、元が取れる年齢を大幅に超えていますから、多くの人が現役時に支払った額以上の年金を受け取れる計算になるのではないでしょうか。
 
また、扶養している第3号被保険者の配偶者がいる場合、支払う年金保険料の金額は変わらずに配偶者分の国民年金も受給できます。世帯単位で考えると、さらに短い期間で保険料の元を取ることが可能です。
 
考え方は人それぞれですが、支払った分の元を取れるという点で、年金に加入することはお得といえるのではないでしょうか。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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