更新日: 2023.04.18 その他年金

60歳から年金を月に10万受け取りながら、70歳まで働くことは可能?ファイナンシャルプランナーが詳しく解説

執筆者 : 柘植輝

60歳から年金を月に10万受け取りながら、70歳まで働くことは可能?ファイナンシャルプランナーが詳しく解説
年金だけでは老後生活が不安。かといっていつまでもフルタイムで働き続けることは厳しい。ならば年金を受けながら、体が元気に動くうちは働こう。そう考える人も少なくないようです。
 
そこで、60歳から年金を月10万円受け取りながら70歳まで働くことは可能なのかファイナンシャルプランナーが考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

60歳から年金を月に10万円受け取ることは可能なのか

まずは前提条件の一つである、60歳から年金を月10万円受け取ることが可能なのか考えてみましょう。年金は最速60歳から受け取れるため60歳から受け取ること自体は可能です。しかし毎月10万円受け取ることはそう簡単ではありません。
 
国民年金の場合、受け取れるのは満額でも月額6万4816円です。厚生年金では、平均的な収入(賞与含む月額換算43.9万円)で40年間就業した方で、国民年金部分を含めて月額15万4777円となります。
 
さらに、60歳から年金を受け取るとなると5年分を繰り上げることで受け取る年金額は24%減少します。すると、年金の支給額は国民年金の場合満額でも4万9260円、厚生年金では11万7630円となり、厚生年金に加入している場合でなんとか可能であるという具合です。
 
ここから、自営業者や厚生年金の加入期間が短かった方などを中心に、60歳から年金を月10万円受けとるということは難しいものになることが想定されます。
 

つみたてNISAやiDeCoの利用も検討を

年金で月10万円の収入の確保が難しい場合、つみたてNISAやiDeCoといった資産運用によって年金と就労以外の所得を合わせて10万円毎月入ってくるように投資をするといった方法もあります。
 
また、つみたてNISAやiDeCoだけで月10万円の収入が確保できれば、年金は65歳からと受け取り年齢を遅らせ、繰り上げ受給による減少を避けることもできます。無理に年金だけに頼るより、こういった老後資金のための優遇制度も併せて考えた方が労働以外で月10万円の収入を得られる可能性は高まります。
 

70歳まで働くことは可能か

70歳まで働くことについては体が元気であれば十分に可能だと思われます。再雇用や定年延長によって今や実質的な定年が65歳になりつつあります。数は多くありませんが、企業によっては70歳まで働ける環境を整えている企業もあるくらいです。
 
少子高齢化で働き手が減っていることも相まって、高齢者を歓迎する求人もネットや求人誌など数多くの媒体で出されています。前提として体が健康で仕事内容を選ばないという条件はつきますが、働くだけであれば70歳まで働くことは十分可能であるといえます。
 

在職老齢年金の存在に注意

就労によって厚生年金に加入して保険料を払いつつ、年金を受け取るのであれば在職老齢年金について注意する必要があります。
 
在職老齢年金とは簡単に説明すれば年金と給料の合計額が47万円を超えると年金の全額または一部の支給が停止されるというものです。働き方や年金の額によっては47万円を超えてしまうこともあるため、注意が必要です。
 
なお、在職老齢年金は厚生年金に加入している方にのみ適用されます。自営業やフリーランスだったり、厚生年金に加入しないパートやアルバイトで就労したりする場合は収入と年金の合計が47万円を超えても適用がないためご安心ください。
 

まとめ

60歳から年金を受け取り、70歳まで働くこと自体はそう難しくはありません。健康であり、これまできちんと年金保険料を納めてきた方であれば実現可能です。
 
しかし、60歳から月10万円の年金を受け取るというのは繰り上げ受給による減少もあり、平均以上の収入があるような会社員でない限り容易ではありません。現実的に考えるのであれば、つみたてNISAやiDeCoといった資産収入と年金を合わせて10万円の収入を60歳から受け取り、70歳まで働くということになるでしょう。
 
年金の受け取り方や働き方は十人十色です。年金や働き方に悩んだら一度ファイナンシャルプランナーに相談し自身に適したライフプランについて提案を頼んでみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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