更新日: 2023.04.19 その他年金

年金を1回も払ってないのに「督促」が来ない場合はある? 60歳まで放置すると年金を受け取れないの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金を1回も払ってないのに「督促」が来ない場合はある? 60歳まで放置すると年金を受け取れないの?
「将来もらえないかもしれないし、制度自体が破綻するうわさもあるからこれまで1回も年金を払ったことがない」という人がいるかもしれません。国民年金は日本国内に住む20歳から60歳までのすべての人に加入義務があり、払わなければ未納状態となって催告や督促の対象となります。
 
では、1回も払わず督促も来ないことは考えられるのでしょうか? 仮に何もない場合60歳まで放置したら年金は全くもらえないのかも含めて解説します。
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全く督促が来ない可能性は考えにくい

通常は年金の未納状態が続くと、日本年金機構や日本年金機構が委託した民間企業から電話や書面、戸別訪問の手段を使って催告されます。この段階では「年金払い忘れていませんか? 未納状態のものがありますよ」といった確認レベルです。
 
厚生労働省が公表している「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況」では、2021年(令和3年度)の最終納付率は78%でした。
 
同じく厚生労働省が発表した「令和2年国民年金被保険者実態調査」によると、未納理由は「うっかりして忘れた、後でまとめて払おうと思った」というものもあり、20歳から24歳までの年齢階級では11.9%が回答しています。払い忘れも意外に多いことが分かります。
 
電話や書面、戸別訪問で催告しても反応がない場合は、主に次のような順番で書類が送付され、後になればなるほど「深刻」な内容になっていきます。
 

●催告状(国民年金未納保険料納付勧奨通知書)
●特別催告状
●最終催告状
●督促状
●差押予告通知書

 
国としても何度も納付や対応を促して「知らなかったでは済まされない」状態になってから最終手段として差し押さえを実行します。
 
どのような場合に差し押さえの対象になるのでしょうか。
 
日本年金機構が公表している「令和4年度計画」では「控除後所得が300万円以上かつ7月以上保険料を滞納している場合は、全員を強制徴収対象者と位置付けた上で、納付の状況などを踏まえつつ、最終催告状を確実に送付し、督促しても自主的に納付しない方について、滞納処分を行う」となっています。
 
つまり、所得が300万円以上あり、7ヶ月以上未納の場合は全員が差し押さえの対象者であるとされています。
 
ただし、これらはあくまで目安で明確な基準があるわけではありません。所得300万円以下の場合でも来る可能性もあります。
 
日本年金機構のホームページでも、それぞれの書面に記載された指定期限までに必ず納付するように書かれていますが、具体的な期限は人それぞれ異なります。
 
いずれにせよ、全く保険料を納めていない状態が続いて、催促も督促も何もないというのは現実的ではありません。
 
「まだ何も来ないから大丈夫」と油断するのではなく「これから来るかもしれない」前提で対策していきましょう。
 

放置し続けると年金もらえないおそれがある

仮に年金を1回も払わず督促も来ない、差し押さえも全くされなかったとしても、将来全く年金がもらえない、病気やけがをすると障害年金や遺族年金ももらえないリスクがあります。
 
老齢基礎年金は保険料を納めた期間と免除等を申請して承認された期間を合わせた受給資格期間が10年以上ある場合に、原則65歳から受け取ることができます。つまり受給資格期間が10年に満たない場合は全く年金をもらえません。
 
2022年(令和4年)時点の年金額は月額6万4816円です。年間で77万8000円が一生にわたって全く支給されず、65歳までに万一病気やけが、死亡などの事態が発生しても障害や遺族年金も受け取れなくなってしまいます。
 

まとめ

本記事では年金を1度も払わずに督促も全くないケースはありうるのか、将来年金は全くもらえないのか解説しました。
 
未納が続くと、まずは電話や書面で確認の連絡が入り、催告や督促を無視し続けると最終的に差し押さえられる可能性もあり、長期間未納状態にもかかわらず、何の連絡等がないのは現実的に考えにくいということを説明しました。
 
また、受給資格期間が10年に満たない場合は全く年金をもらえないので気をつけましょう。日本年金機構の発表では令和4年9月時点の差押執行件数は866件あり、決して人ごとではありません。実際に「年金を1回も払わず督促も来ない」のは考えにくいと思われます。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

日本年金機構 国民年金保険料の強制徴収の取り組み

厚生労働省 令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況

厚生労働省 令和2年国民年金被保険者実態調査

日本年金機構 令和4年度計画
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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