更新日: 2023.04.19 その他年金
50代の4割が「年金は減る」と感じている? 受給額が減ってでも払い続けた方がいい理由って?
事実、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和 4年)」によると、「年金ではゆとりがないと考える理由」について、50代の44.7%が「年金の支給額が切り下げられる」と考えています。物価も上がり、賃金も上がらない今、保険料の負担は大きいものです。
今回は、払いたくないと感じていても、払い続けた方がいい理由を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の支払いが義務である理由
公的年金制度は「仕送り」を社会化したものです。かつては、親と同居し、家業を継ぐ人が多く、子どもが親を養っていました。ところが、経済成長を経て、親元を離れて働く人が多くなり、子どもが親を養うことが難しくなりました。公的年金制度を整備することによって、社会全体で高齢者を支える形になったのです。
老後だけでなく、障害や家族の不幸といった不慮の出来事にあっても、一人ひとりが安定して生活できるよう、社会全体で支えるのが公的年金制度なのです。
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国民年金を払わなかったときに起こること
国民年金の支払いは、義務付けられています。もし、納付期限までに払わなかった場合は、納付勧奨、督促、差押えと段階を踏まえ、より厳しい徴収が行われます。
国民年金の強制徴収の流れ
はじめは納付勧奨です。電話や文書、戸別訪問による催促が行われます。保険料を支払えるのにも関わらず、払わなかったときには、最終催告状が届きます。
最終催告状の後も払わなかった場合には、督促状が送付されます。督促状は、連帯納付義務者として、世帯主や配偶者にも送られてきます。督促状で指定した期限までに払わなかったときに、差押えとなります。世帯主や配偶者も差押えの対象です。
日本年金機構は、令和4年度について、控除後所得が300万円以上かつ7ヶ月保険料を滞納している場合に、強制徴収対象者とし、最終催告状を送付しました。令和4年9月末までに、13万人に対し、最終催告状を送付しています。13万人のうち、納付がなかった4万人に対して督促状を送付。差押えは866件、執行されています。
周りで聞く機会はないかもしれませんが、年金保険料未納に対して、確実に強制徴収は行われているのです。
国民年金を払った方がいい理由
公的年金は、予測できない将来に備える一生涯の保険です。老後のための年金として捉えられることが多いですが、障害年金や遺族年金もまかなっています。
障害年金や遺族年金が受け取れる
障害年金や遺族年金の受給要件には、障害の場合は初診日、死亡の場合は死亡日の月の前々月まで被保険者のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が2/3以上あることとされています。
例えば、50歳の方が2023年3月に事故にあい、障害を負ったとき。本来納付すべき期間は、20歳である1993年3月から2023年3月までの360月となります。障害年金の受給要件を満たすためには、240月、つまり、20年保険料を支払う必要があります。
障害年金、遺族年金のどちらも、死亡日の月の前々月までの1年間に保険料の未納がある場合には、受給できません。今まで納めてなかったからと言って、2023年3月から納めたとしても、受給要件を満たせるのは、2024年5月となります。
年金は、亡くなるまでの終身保険としての一面もあります。給付水準は、少子高齢化が進んでいる中でも、年金を受給し始めるときに、現役サラリーマン世帯の平均所得の50%を上回るよう、自動調整されます。言い換えれば、受給するときの価値に合わせた年金が支給されるということです。
民間の金融機関が販売する商品は、「10万円を払います」「15年間払います」など、将来の物価上昇は特に考えられていません。15年後の10万円の価値が、今よりも下がり、生活資金の助けにならない可能性は十分にありえます。
国民年金を払えないときの方法
国民年金の保険料を払えないときには、免除申請をしましょう。免除された期間は、年金の受給資格期間に入れることができます。免除された期間は、老齢年金の満額の1/2が受け取れることになっています。
もし、40年間全額免除となった場合は、令和5年度の満額である79万5000円の半分、39万7500円が受けとれることになります。
免除申請は、お住まいの市区役所や町村役場の国民年金担当、お近くの年金事務所でできます。退職や失業した方、新型コロナウイルス感染症の影響で納付が難しい方も条件を満たしていれば、申請可能です。「払えないから……」と未納にするのではなく、免除申請をするようにしましょう。
国民年金は万が一の保険
国民年金は、「仕送り」を社会全体の仕組みにしたものです。老後の生活だけでなく、障害を負った方や遺族となった方の生活も支えています。インフレにも対応できるよう、支給額は調整されているため、無駄になってしまうことはありません。
支払い能力があるにも関わらず、払わなければ、ご自身だけでなく世帯主や配偶者も差押えられる可能性があります。経済的に支払うのが厳しくても、免除申請を行えば、受給要件を満たせます。万が一に備えられる保険として、確実に払うようにしましょう。
出典
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和 4年)」
厚生労働省 年金制度基礎資料集
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
日本年金機構 日本年金機構の令和4年度の取組状況について
日本年金機構 国民年金保険料強制徴収の実施状況
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
厚生労働省 令和5年度の年金額についてお知らせします
日本年金機構 新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー