更新日: 2023.04.20 その他年金

夫婦2人で「月30万円」の年金を受け取りたい! 現役時代の年収はいくら必要?

夫婦2人で「月30万円」の年金を受け取りたい! 現役時代の年収はいくら必要?
「老後は退職金と年金で悠々自適に暮らせる時代は終わった」などと言われることもありますが、それでも「老後は年金だけで生活したい」と考える人は多いかもしれません。
 
もし、年金だけで毎月30万円受け取りたいと思ったら、現役時代にどのくらいの収入を得る必要があるのか、解説します。今回は話を分かりやすくするために、下記を想定して説明します。
 
・会社員として働いている(自営業や無職等の期間はない)
・年金保険料は満額支払って、免除や納付猶予等の期間はない
・年金の繰上げ受給や繰下げ受給は行わず、65歳から受け取る
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年金だけで月30万円受け取るためには?

現役時代に会社員をしている場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を原則65歳から受け取ることができます。
 
老齢基礎年金は国民年金保険料を納付していると受け取ることができて、満額の場合の年金額は79万5000円(67歳以下の場合)、68歳以上の場合は79万2600円です。月額では約6万6000円となります。
 
年金だけで月30万円受け取るためには、あと約24万円(年間約288万円)足りません。老齢基礎年金だけでは事実上生活できないので、老齢厚生年金などでカバーする必要があります。
 
老齢厚生年金は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算され、厚生年金に加入していた時の給料等の報酬額と加入期間によって変わります。
 
今回は経過的加算や加給年金額はなく、報酬比例部分は2003年4月以降の加入期間の計算方法で求めるものとします。
 
2003年4月以降の加入期間の部分の計算式は「平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数」です。「平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月=288万円」となり、平均報酬額は約110万円です。
 
実際には税金や社会保険料等によって変わりますが、老後に年金を月30万円受け取ろうと思ったら、現役時代に平均月収110万円(年収1320万円)である必要があります。
 
国税庁が公表している「令和3年分民間給与実態統計調査」の給与階級別分布によると、男女合計で年収1000万円を超える世帯は全体の4.9%です。これらのデータから見ても、年金だけで月30万円もらうのはハードルが高いといえます。
 

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老後の生活費は実際どのくらい必要?

「老後は月30万円くらいあればいいかな」と考える人は多いですが、実際どのくらいかかるでしょうか。総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)によると、2021年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円です。
 
総務省統計局のデータはあくまで生活費なので、臨時支出や趣味娯楽費等は含まれていません。「自分はぜいたくな暮らしはしない」と思っても、このようなことが起こる可能性は十分考えられます。


・洗濯機や冷蔵庫が故障した
・毎日の生活で使う自動車を買い替えたい
・病気やけがで病院に通うことになった
・雨もりなどで自宅の補修が必要になった
・親が倒れて老人ホームに入れることになり、介護も必要

もちろん想定外の事態は起こらないのがよいですが、万一のときに「こんなはずじゃなかった」とならないためにも準備や対策は必要です。日常生活だけでなく想定外への備えも考えると、最低でも月30万円くらい必要と考えておいたほうがよいかもしれません。
 

まとめ

今回は老後の年金を夫婦2人で月30万円受け取ることは可能なのか、そのためには現役時代にどのくらいの収入を得る必要があるのか、解説しました。
 
年金だけで月30万円受け取るためには、現役時代に平均月収110万円である必要がありますが、継続して年収1000万円以上の収入を得るのは国税庁のデータを見ても簡単ではありません。
 
もちろん年金だけで生活できたらうれしいですが、それは難しい可能性が高いです。老後もできる限り長く働くなど、年金に依存しない仕組みを設けることが大切です。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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