更新日: 2023.04.21 その他年金

【年収の壁】専業主婦が厚生年金に加入すると「将来の受給額」はどれだけ増える?「月収10万円×20年間」のケースで試算

【年収の壁】専業主婦が厚生年金に加入すると「将来の受給額」はどれだけ増える?「月収10万円×20年間」のケースで試算
日本の公的年金制度においては、配偶者が会社員で、自身が専業主婦(夫)として第3号被保険者の加入要件を満たしている場合、働いていなくとも老齢基礎年金は受給可能です。
 
しかし、自身がパートなどで条件を満たしたうえで働くと、働いた分将来もらえる年金額は増えます。
 
本記事では、会社員を配偶者に持つ専業主婦(夫)の人が将来もらえる年金額について、働かない場合と、条件を満たして働いた場合にどれくらいもらえる年金額が増えるのかについて解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

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専業主婦(夫)が受け取る年金額

会社員を配偶者に持つ専業主婦(夫)は、年収などの要件を満たすと国民年金の第3号被保険者になります。第3号被保険者は自ら保険料を負担していなくとも、第3号被保険者の期間は保険料納付済期間として、将来の年金額に反映されます。
 
結婚前は自身で国民年金の保険料を支払い、その後専業主婦(夫)となったとします。結婚前、結婚後の20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めた場合、自身の老齢基礎年金としては年間で満額の79万5000円(令和5年度)受け取れます。
 

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パートなどで厚生年金に加入できる条件

パートなどで働いた場合、必ずしも厚生年金に加入できるわけではありません。現時点において、厚生年金に加入するには下記(1)~(5)を全て満たす必要があります。


(1)労働時間が週20時間以上
(2)賃金が月8万8000円以上
(3)雇用期間が2ヶ月を越えて見込まれる
(4)学生ではない
(5)勤務する企業の従業員数が101人以上

なお、(5)については、令和6年10月以降は51人以上に変更予定です。
 

パートで厚生年金に加入した際に年金額はどれくらい増えるのか

条件を満たしたうえで、毎年受け取れる年金額の増加額はおおまかには月収×5.481÷1000×加入月数で求められます。そのため、例えば20年間、月収10万円の収入があった場合、年金の増加額は年額で下記のとおりです。
 
10万円×5.481÷1000×20年×12ヶ月=13万1544円
 
同じ計算式では、単純に年間20万円稼いだら、受け取る年金の年額は26万3088円、働いた期間が半分の10年だと、年金の年額は6万5772円となります。
 

負担する保険料はいくらか

会社員が配偶者の専業主婦(夫)は、老齢基礎年金は働かなくてももらえますが、厚生年金をもらうためには保険料を納付しなければなりません。
 
保険料の負担額は、おおよそ月収の18.3%の半分(もう半分は会社負担)です。そのため、月収が10万円であれば、負担する保険料は月額で10万円×18.3%÷2で9150円となります。
 

保険料を負担して元は取れるのか

ここまでで気になるのは、「パートで働いたとして、支払った保険料分の年金を将来受け取れるのか」です。
 
年金は生涯受け取れるため、元が取れるか取れないかは寿命次第ですが、今回は条件を満たしたうえで、月収10万円で20年間働き保険料を納付し、年金を65歳から女性の平均寿命の88歳まで受け取ったとして計算してみます。まず、支払った保険料は下記のとおりです。
 
9150円×20年間×12ヶ月=219万6000円
 
続いて、受け取れる年金についてですが、毎年の増加額は先ほどの計算で年間13万1544円ですので、これが65歳から88歳までの23年間受け取れるため、302万5512円となります。
 

月収10万円で20年間働き厚生年金保険料を支払うと生涯で約300万円年金が増加

これまで見てきたとおり、ずっと専業主婦(夫)である場合と比べると、月収10万円で20年間働くと、生涯で受け取れる年金額は約300万円増加します。それに対し、支払った保険料は約220万円ですので、数字だけを見ればお得であると言えます。
 
現在専業主婦(夫)の人が厚生年金に加入して働くことを検討する際には、家事や育児といった生活への影響を考慮した上で、将来受け取れる年金額も参考にしてみましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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