更新日: 2023.04.25 その他年金
年金は「全額もらえない」!? 手取りはどのくらいになるの？
本記事では、65歳以上の人が年金の「額面」からどのような金額が引かれるのか、解説します。
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部（ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ）
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年金は社会保険料と税金が引かれた後が「手取り」となる
年金の「額面」と「手取り」は異なります。これは年金を受け取る際、特別徴収された額が手取りとなるためです。特別徴収される税金や保険料は、以下のとおりです。
●所得税
●住民税
●介護保険料
●国民健康保険料または、後期高齢者医療保険料
本記事では、東京都世田谷区を参考に解説します。
所得税
老齢年金は「雑所得」として扱われるため、所得税がかかります。65歳以上の人で年間の年金受給額が158万円以上の場合は、原則として所得税を支払わなければなりません。
65歳以上の人は、年金の収入額から公的年金の所得控除額となる公的年金控除（110万円）と基礎控除（48万円）を引いて計算します。つまり合計158万円が控除となるため、この金額以上を受給している場合に所得税が発生します。
所得税の算出方法は、以下のとおりです。
所得税＝（年金額－各種控除額）×5.105％（所得税率5％＋復興特別所得税率0.105％）
住民税
65歳以上の人のうち、以下の両者に該当する人は年金から「住民税」が特別徴収されます。
●年間18万円以上の年金を受給している人
●老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給している人
住民税は所得税と同様に公的年金控除の額が110万円です。一方、基礎控除は43万円となるため、課税所得が年間153万円を超えると原則、住民税がかかります。ただし、各種控除額がほかにもある場合、控除の合計額はこの限りではありません。
介護保険料
65歳以上の人のうち、以下の両者に該当する人は年金から「介護保険料」が特別徴収されます。
●年間18万円以上の年金を受給している人
●老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している人
金額は居住地の自治体によって異なりますが、東京都世田谷区の場合、所得を17段階に分けて計算します。第6段階を基準額とし、基準額×（0.3〜4.2）で算出されます。
国民健康保険料、または後期高齢者医療保険
65歳以上75歳未満の人のうち、以下の両者に該当する人は年金から「国民健康保険料」が特別徴収されます。
●年間18万円以上の年金を受給している人
●老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している人
東京都世田谷区の場合、国民健康保険料の計算方法は、図表1のとおりです。
図表1
| 所得割額 | 均等割額 | 最高限度額 | |
|---|---|---|---|
| 基礎（医療）分 | 加入者全員の賦課基準額×7.17% | 加入者数×4万5000円 | 65万円 |
| 後期高齢者支援金分 | 加入者全員の賦課基準額×2.42% | 加入者数×1万5100円 | 22万円 |
東京都世田谷区 令和5年度国民年金保険料早見表を基に筆者作成
※所得割額と均等割額を合わせた額に「加入月数／12ヶ月」を乗じて保険料を算出します。
また、75歳以上の人、もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度の対象となる人のうち、以下の両者に該当する人は年金から「後期高齢者医療保険料」が特別徴収されます。
●年間18万円以上の年金を受給している人
●老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している人
東京都世田谷区の場合、後期高齢者医療制度における2023年度の1年間の保険料額は、以下のとおりです。
均等割額4万6400円＋賦課の基となる所得金額×9.49％
なお、国民健康保険料と介護保険料の合計額、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合、特別徴収の対象とはなりません（2分の1の判定は、各市区町村が特別徴収の要否の審査をする際に行います）。
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まとめ
年金を受け取る前には多くの人が額面のみを確認しますが、実際に受給するときには、さまざまな税金や保険料が引かれます。65歳以上の人は年金受給額が年間153万円以下であれば非課税扱いであっても、社会保険料は引かれてしまう人が多いです。
将来の年金額を計算する際は、引かれる金額についても確認しておくと老後資金を準備する目安にもなるため、調べておくと安心できるでしょう。
出典
日本年金機構 Q.年金から差し引かれている税金の計算方法を教えてください。
日本年金機構 Q.年金から介護保険料・国民健康保険料（税）・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。
世田谷区 令和5年度国民健康保険料早見表
世田谷区 世田谷区の介護保険料額
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
