更新日: 2023.04.26 その他年金

【熟年離婚が増加】離婚後の年金分割をわかりやすく解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【熟年離婚が増加】離婚後の年金分割をわかりやすく解説
現在、熟年離婚が非常に増えてきています。厚生労働省の統計によると、令和2年時点での60~64歳の離婚率は、昭和25年と比較し、数倍に跳ね上がっています。その中で問題になるのが離婚後の年金分割です。
 
この記事では、年金分割とはどのようなものなのか・手続き方法はどうすれば良いのかなどについて、わかりやすく解説していきます。
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年金分割とは?

年金分割とは、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を離婚時に分割し、それぞれ自分の年金にできる制度です。より詳しく知りたい場合は「年金事務所・年金相談センター」に相談するようにしてください。
 

年金分割の方法は?

離婚後の年金分割の方法には、以下の2種類の方法があります。それでは、順に見ていきましょう。
 

合意分割

離婚した際に以下の条件に該当した場合、当事者の一方もしくは双方からの申し出により、婚姻関係を結んでいた間の厚生年金記録を当事者の話し合いで分割できる制度です。それでは、どのような条件があるのか見ていきましょう。

●婚姻期間中の厚生年金記録がある場合
●当事者間の合意もしくは裁判所での手続きで割合が定まった場合
●請求期限(離婚届けを提出した日の翌日から2年以内)である場合

婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれている場合は、合意分割と同時に3号分割の請求も併せて行われたとみなされ、すべての分割がまとめて行われます。
 

3号分割

国民年金第3号被保険者(サラリーマンの妻で専業主婦の場合など)からの請求で年金を分割する方法で、半分ずつの割合で分割できる制度です。ただし、以下の条件に当てはまる場合のみ有効です。

●婚姻期間中に平成20年4月1日以降の国民年金の第3号被保険者期間がある場合
●請求期限(離婚届けを提出した日の翌日から2年以内)である場合

この方法は、当事者間の合意は必要ないですが、一方が障害厚生年金の受給権者で、分割請求の対象期間を年金額の基礎としている場合は請求できません。
 

年金分割の手続き

地域にある年金事務所もしくは年金相談センターで「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」など必要書類を受け取り、記入・提出する必要があります。これは、分割の割合が双方で決まっている場合でも提出しないと、現実的に年金は分割されないため、大切な手続きです。
 

年金分割の手続きの期限

離婚後の年金分割の手続きは、原則として離婚届けを提出した日の翌日から2年が経過すると手続きを行えません。さらにすでに離婚が成立した上で相手が死亡した場合は、その日から1ヶ月を過ぎると手続きが行えないため注意が必要です。
 
また、年金分割の請求は、以下の条件に当てはまる場合のみ有効です。

●離婚をしたとき
●婚姻の取り消しをしたとき
●事実婚関係の人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が継続されていないと認められたとき

分割請求期限には以下の場合において特例も設けられています。詳しくは、年金事務所に問い合わせるようにしてください。
 

年金分割手続きの注意点

年金は、国民年金と厚生年金で成り立っており、分割できる年金は婚姻期間中に支払った厚生年金の保険料の部分のみです。20~60歳まで厚生年金に加入する夫と30~50歳まで婚姻関係にあった場合、分割できるのは婚姻期間中の20年分であり、ほか20年分は分割対象ではありません。
 

まとめ

この記事では離婚後の年金分割について紹介しましたがいかがでしたか? 年金分割には期限があり、妻が65歳以上で離婚した場合、老齢基礎年金に振替加算が上乗せされている場合もあり、基本的には振替加算は離婚しても継続されます。
 
ところが年金分割で記録を分けた場合、振替加算の要件である厚生年金被保険者期間(240ヶ月未満)を超えてしまうと、加算が停止されることがあるため注意が必要です。もし該当しそうな場合は、どちらが有利になるかをしっかり確認してから手続きを行うようにしてください。
 

出典

法務省 年金分割
日本年金機構 離婚時の年金分割
厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況 統計表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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