更新日: 2023.04.26 その他年金

繰下げ受給で年金を増やしたいけどリスクも考えたい。損する場合ってどんな場合?

繰下げ受給で年金を増やしたいけどリスクも考えたい。損する場合ってどんな場合?
年金の繰下げ受給を利用すると、年金受給の開始時期は遅くなりますが、年金受給額を増やすことができます。ただし、繰下げ受給に伴うリスクについても考慮する必要があります。
 
本記事では、繰下げ受給によるリスクや損益分岐点について詳しく解説します。もし繰下げ受給を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

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FINANCIAL FIELD編集部

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年金の繰下げ受給とは

 
年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受け取れる年金の受給時期を、最大75歳まで遅らせる制度です。
 
この制度を利用すると、年金の受給時期は後ろ倒しになりますが、受給額は増加します。具体的には、受給時期を1ヶ月遅らせるごとに年金額は0.7%増額し、75歳まで繰り下げた場合は84%増額します。
 
また、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)は、それぞれ別々に繰り下げることが可能です。
 

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繰下げ受給のリスク

 
繰下げ受給を利用する場合、年金の受給開始時期が遅くなるため、受給前に必要な生活費が発生します。さらに、もし長生きできなかった場合は、受給額が少なくなる可能性があります。また、受給額が増えることで、税金や社会保険料の負担が増える場合もあるため、注意が必要です。
 
本項では、繰下げ受給に伴うリスクについてみてみましょう。
 

年金受給開始までの生活費が必要

 
繰下げ受給を利用する場合は、年金を受け取るまでに必要な生活費が生じるため、慎重に検討する必要があります。例えば、70歳まで繰下げ受給する場合、65歳から5年間は年金を受け取れないため、全ての生活費を貯蓄や給与で賄う必要があります。
 
生活費のシミュレーションを行い、繰下げ受給の可否や時期を慎重に考慮することが重要です。
 

長生きできなかった場合には総受給額が少なくなる

 
繰下げ受給を利用すると、長生きしなかった場合には総受給額が少なくなってしまいます。
 
例えば、70歳まで繰り下げたにも関わらず、70歳になる前に亡くなった場合には、年金をもらい損ねることになります。そのため、長生きできなかった場合のリスクも考慮しておく必要があります。
 

税金の負担が増える

 
年金には、国民健康保険料(75歳以降は後期高齢者医療保険料)や介護保険料、所得税、住民税などがかかります。例えば、年金額が158万円の控除(公的年金等控除110万円、基礎控除48万円)を超える場合は、所得税が発生します。
 
そのため、繰下げ受給によって年金受給額が増える場合、税金や社会保険料の負担が大きくなる可能性があります。
          

繰下げ受給の損益分岐点

 
繰下げ受給を利用した場合の増額率は「繰り下げた月数×0.7%」で計算できます。
 
1年間繰り下げた場合の増額率は「12ヶ月×0.7%=8.4%」、5年間繰り下げた場合は42%(8.4%×5)、10年間繰り下げた場合は84%(8.4%×10)となります。
 
では、損益分岐点はどこになるのでしょうか?
 
65歳で受け取る年金を100%とし、下記のように算出します。
 

100%÷0.7%=142.85%
142.85%÷12ヶ月=11.904年

 
繰下げ受給を開始してから11.9年、つまり11年10ヶ月を越えると、繰下げ受給を利用した方が得になることになります。
 
例えば68歳まで繰り下げた場合(増額率25.2%)の損益分岐点は、79歳10ヶ月を超えると、繰下げ受給を利用した方が得になることになります。
 

65歳→70歳に繰り下げた場合

 
65歳から70歳に繰り下げた場合、損益分岐点は81歳10ヶ月です。
 

65歳→75歳に繰り下げた場合

 
65歳から75歳に繰り下げた場合、損益分岐点は86歳10ヶ月となります。
 

繰下げ受給のリスクも考慮して慎重に検討しよう

 
年金の受給開始時期を繰り下げることで、最大84%の増額が可能です。
 
ただし、繰下げ受給を利用すると、受給開始までの生活費は全て貯蓄や給与から工面する必要があります。もしも長生きできなかった場合には、総受給額が減少する可能性があります。さらに、税金の負担が大きくなる場合もあるため注意が必要です。
 
年金の繰下げ受給はリスクも伴いますので、慎重に検討することが重要です。メリットとリスクを十分に把握し、自分にとって最適な選択をするようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー