更新日: 2023.04.29 国民年金
国民年金保険料の未納率は22%! 納付しない理由は? 払わないとどうなる?
国民年金保険料を未納にしたままにすると、将来的に受け取れる年金が減額するだけでなく、公的な保障を受けられないなど、老後や万が一のときに備えられなくなるといったデメリットが発生します。
本記事では、国民年金保険料の未納率をはじめ、国民年金保険料を払わないとどうなるのか、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
国民年金保険料の未納率はどのくらい?
厚生労働省の「国民年金保険料の月次納付率」では、令和5年1月末の最終的な納付率(3年経過納付率)が78.0%であると伝えています。要するに、令和元年12月分の国民年金保険料の未納率が22%であることを意味しているのです。
なお、2年経過納付率(令和3年1月分保険料)は81.1%、1年経過納付率(令和4年1月分保険料)については79.2%でした。
国民年金保険料を納付しない理由とは?
厚生労働省年金局の「令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要」の、「年齢階級別保険料を納付しない理由」で、1号期間滞納者(平成30年度および令和元年度の納付対象月の保険料を全く納付していない人)193万1000人(国民年金第1号被保険者の15.6%)のうち、20~59歳の全世代で最も多い76.0%の人が、「保険料が高くて経済的に支払うのが困難」と挙げていました。
次に20~24歳の11.9%が「うっかりして忘れた、後でまとめて払おうと思った」、35~39歳の8.5%が「年金制度の将来が不安・信用できない」、25~29歳の8.5% が「納める保険料に比べて、十分な年金額が受け取れないと思う」と回答しています。
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国民年金保険料を払わないとどうなる?
国民年金保険料を払わない場合、以下のように将来的に受け取れる年金に影響を及ぼします。
・将来年金を1円も受け取れない場合がある
・遺族年金や障害年金を受け取れない
さまざまな理由で、国民年金保険料の納付が難しいという人もいるでしょう。しかし、これらの影響を考えたら納付できるように収入を増やしたり、家族に立て替えてもらったりすることも検討してください。
将来年金を1円も受け取れない場合がある
国民年金を受け取るには、20歳から60歳までの40年間のうち、国民年金保険料の納付期間が原則10年以上必要です。納付期間が10年に満たない場合、国民年金保険料を納付した期間があったとしても国民年金を受け取れません。
また、国民年金保険料の納付期間が10年を満たしていても、未納期間がある場合はその期間に応じて減額されます。未納期間が長いほどに将来的に受け取れる年金額が少なくなるので注意してください。
遺族年金や障害年金を受け取れない
国民年金保険料の未納によって、将来的に受け取れる国民年金が減額されるだけでなく、万が一のときの保障を受けられない場合があります。
国民年金の被保険者が死亡した際に配偶者が受け取れる遺族年金、国民年金被保険者がけがや病気で障害認定を受けた際に受け取れる障害年金の支給対象にならないからです。老後資金や自分のための備えができなくなるので、国民年金保険料の未納には十分に注意しましょう。
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度とは?
国民年金被保険者やその家族が失業したり、所得額が一定額以下だったりするなどの理由で納付が困難な場合は、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度の利用を検討してみてください。
【国民年金保険料の免除制度】
国民年金保険料の免除制度とは、国民年金被保険者本人、世帯主、配偶者の前年所得(1~6月までの申請分は前々年所得)が一定額以下である、または失業した人を対象にした制度です。
免除される金額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4区分があり、免除された分の保険料は納付する必要がありません。
手続きは、国民年金被保険者本人が年金事務所に申請書を提出して行います。承認されれば国民年金保険料の納付が免除されますが、申請が却下される場合があることや、免除された保険料に応じて将来的に受け取れる年金額が変わる点を認識しておきましょう。
【国民年金保険料の納付猶予制度】
国民年金保険料納付猶予制度は、20〜50歳未満、国民年金被保険者本人とその配偶者の前年度所得が一定額以下(1~6月までの申請は前々年所得)の人が検討できる制度です。
国民年金保険料の免除制度と同様に、年金事務所に申請書を提出して承認されれば、国民年金保険料の納付が猶予されます。
注意点として、国民年金保険料納付猶予制度は納付期間を猶予されるだけであって、免除されるわけではありません。納付猶予を受けた国民年金保険料を未納した場合、将来的に受け取れる年金額が少なくなります。
国民年金保険料には納付義務がある! 正しく保険料を納めて老後に備えよう
20~60歳未満の人に加入義務のある国民年金ですが、満額で受給するには国民年金保険料の納付を欠かさないことが前提です。
せっかく国民年金保険料を納付しても受給要件に満たないために、国民年金を1円も受け取れない、受け取れる年金額の減額、万が一の際に公的な保障を受けられないことは避けたいところです。
収入減や失業などの理由で、経済的に国民年金保険料を納付する余裕がない場合は、国民年金保険料の免除制度や納付猶予制度を受けることを早めに検討して手続きしましょう。
出典
厚生労働省 令和5年1月末現在 国民年金保険料の月次納付率
厚生労働省年金局 令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部