年金を払わないと「もらう金額」はどうなる? まぎらわしい「未納」と「免除・納付猶予」についても解説
配信日: 2023.04.29 更新日: 2023.05.02
本記事では、これらの違いや将来の年金額への影響、もしもの場合の備えについて解説します。
執筆者:二角貴博(ふたかど たかひろ)
2級ファイナンシャルプランナー
老齢基礎年金をもらうために必要な納付期間と滞納処分
原則65歳からもらえる老齢基礎年金は、保険料を納付した期間と免除や納付猶予を受けた期間などを合わせた「受給資格期間」が10年以上ある場合に受け取れます。しかし、10年分をクリアすれば残りは未納でも良いというわけではありません。
平成29年7月末までは年金を受給するには、受給資格期間が25年以上必要だったので、この「10年以上」は、どうしても資格を満たせない高齢者のための救済措置と考えた方がよいでしょう。また、本来40年間納めるべき保険料を10年分しか納めないと仮定すると、将来受け取れる年金額が4分の1程度になってしまいます。
また、国民年金保険料を10年間納付したとしても60歳になるまで年数が残っている場合は、残りの期間も納めなければなりません。国民年金保険料を未納のままにしておくと、電話や封書・訪問などで納付することを促された後、最終的に催告状が送られてきます。督促状を放置すると財産を差押えられる可能性があるので注意しましょう。
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免除と納付猶予とは
収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが困難な場合は、一定の基準を満たせば免除や納付猶予という制度を利用できます。それぞれ老齢基礎年金の受給資格期間に合算されるので安心です。詳しい基準や手続きは、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。
ただし、老齢基礎年金を満額に近づけたい場合には、10年以内にさかのぼって追納(追加で納めること)が可能です。
納付していない期間はどう反映される?
国民年金保険料を納付していない期間でも、年金をもらうための資格に反映することを述べてきました。それでは実際の年金額にはどう反映するのでしょうか。国民年金保険料の納付や免除・納付特例・未納の違いをまとめると図表1のとおりとなります。
図表1
日本年金機構サイトより筆者作成
(注)免除には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4種類があります。
1.受給資格期間への算入
納付した期間はもちろんですが、免除や納付猶予されていた期間も老齢基礎年金を受け取るための受給資格期間へ算入されます。当然ながら、未納の期間は受給資格期間には算入されません。
2.年金額への反映
未納と納付猶予の期間は、老齢基礎年金の年金額に反映しません。また、免除期間は免除割合によって反映される額が異なります。ただし、納付猶予の場合は、後ほど追納すれば年金額を満額に近づけることが可能です。
3.障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件
未納以外は、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給するための要件に反映されます。それぞれの年金を実際に受給できる要件は、次のいずれかです。
●障害基礎年金の場合は初診日(※)、遺族基礎年金の場合は死亡月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上あること。
●初診日(障害基礎年金の場合)、死亡月の前々月(遺族基礎年金の場合)までの1年間に保険料が未納になっていないこと
※なお、初診日とは、障害の原因となった病気やけがで、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日のことを指します。
未納はもしもとのときに不利なので早めの相談を
国民年金保険料の未納期間があると、老齢基礎年金の受給額が減るだけではなく、もしものときに障害基礎年金や遺族基礎年金が受けられない場合があります。10年間の受給資格期間をクリアしているからといって未納のままにしておくと、万一の保障にも影響するので、未納期間をつくらないようにしましょう。
経済的な理由等で国民年金保険料を納められない場合には、免除や納付猶予の方法があります。具体的な条件などは年金事務所で相談に乗ってくれるので、問い合わせてみましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー