更新日: 2023.05.02 その他年金

年金の受給、「63歳から」と「68歳から」で比較した場合、月々の額はどのくらい変わる?

年金の受給、「63歳から」と「68歳から」で比較した場合、月々の額はどのくらい変わる?
年金の受給開始をいつにするかによって月々の年金額が変わることをご存じでしょうか。老後の不安もあり、年金を受け取るのをいつからとするか頭を悩ませている方も少なくはないはずです。
 
そこで、年金の受給を63歳からにした場合と68歳からにした場合とで月々の年金額がどれくらい変わるのか確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金の受給開始時期をずらすことがもたらす効果

現在、日本の公的年金は65歳から受給開始することが原則となっています。この受給開始時期は本人の希望に応じて60歳から75歳の間で1ヶ月単位でずらすことができ、65歳よりも受給開始時期を早めることを繰上げ受給、65歳になった月よりも遅くすることを繰下げ受給といいます。
 
繰上げ受給をすると年金を早期に受け取れる反面、1ヶ月繰上げるごとに受け取る年金額が0.4%減額されます。
 
一方、繰下げ受給をすると年金を受け取る時期が遅くなる反面、1ヶ月繰下げるごとに将来受け取る年金額が0.7%増額されることになります。
 
繰上げや繰下げをするとその後生涯にわたって減額ないし増額された年金を受け取り続けることになります。そのため、年金の受給開始時期をずらすなら、今はもちろん将来の生活にも影響を及ぼすことを承知の上で考えていくことが必要です。
 

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63歳に繰上げするとどうなる?

では、63歳に繰上げ受給をした場合月々の年金額がどれくらいになるか考えていきます。63歳まで繰上げする場合、繰上げ期間は2年間(24ヶ月)です。それによって9.6%減額され、65歳で受け取ったときと比べて年金額が90.4%となるわけです。
 
令和4年度の国民年金は月額6万4816円です。仮に、国民年金を満額受け取れる方が63歳に繰上げ受給をした場合、受け取れる年金額はおおよそ5万9000円になり、6000円近い減額となります。
 
参考までに厚生年金では、平均的な方の年金額は月額15万4777円です(賞与含む月額換算43.9万円で40年間就業したと仮定)。この方が63歳に繰上げ受給をした場合はおおよそ14万円になり、1万5000円近い減額となります。
 
2年繰上げても、減少する年金額は月額で国民年金なら6000円程度、厚生年金なら1万5000円程度となります。ライフプランにもよりますが、支給される年金額と生活費などとの関係によっては63歳への繰上げも選択のひとつとなりうるでしょう。
 

68歳に繰下げするとどうなる?

では、先ほどと同じ条件で68歳まで繰下げした場合を計算してみましょう。この場合、繰下げ期間は3年間(36ヶ月)です。それにより受け取る年金額は25.2%増加した金額となります。国民年金を満額受け取れる方であれば月額おおよそ8万1000円になり、1万6000円程度の増額となります。
 
厚生年金では平均的な方の場合、月額おおよそ19万4000円になり、なんと4万円近い増額となります。
 
年金の受け取り開始が3年遅れるといっても、長生きすればするほど繰上げした場合との差が大きくなっていきます。健康であるため長生きすることが予想されたり、老後資金に余裕がある、老後もできるだけ就労したりするというような場合は繰下げについて検討してもよいでしょう。
 

受け取り開始時期を63歳と68歳とで比較したときの差は?


 
先の結果の下、年金の受け取り開始時期について、63歳まで繰上げた場合と68歳まで繰下げた場合とでどれくらいの差がつくか比較してみます。すると、国民年金を満額受け取れる方なら1ヶ月当たり2万2000円程度の差がつきます。厚生年金であればなんと5万4000円程度の差がつきます。
 
通常の受給開始年齢である65歳の場合と比較するとまだそこまで大きな差に感じなかった方も、繰上げした63歳と繰下げした68歳とで比べると、年金の受給開始時期による差がより強く感じられることでしょう。
 

まとめ

年金の受給開始時期について、63歳からと68歳からという5年の違いだけでも受給額の差は大きなものになります。年金の受給開始時期は生きている限り長期にわたって自身の受給する年金額に影響を及ぼします。
 
受給開始時期を決める際は十分にシミュレーションをして決定するようにしてください。そうすることで、後悔しない年金の受け取り方を見つけられる可能性が高まります。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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