「定年退職」をして年金暮らしです。暇なので働きたいのですが、年金額で「損をする」と聞きました。どういうことなのでしょうか?
配信日: 2023.09.14
在職老齢年金の制度は複雑ですが、ポイントを押さえれば年金が調整されることを心配せずに安心して働くことができます。また、定年後にも働き続けることにはさまざまなメリットがあります。
本記事では、年金を調整される心配をせずに働く方法について紹介します。
執筆者:原田真吾(はらだ しんご)
社会保険労務士
年金が調整されるのは社会保険に加入して働くときだけ
働くと年金が調整されるというのは、「在職老齢年金」の仕組みがあるからです。在職老齢年金とは、70歳未満の人が厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所で働いた場合に報酬の額に応じて年金額が調整される仕組みです。
そのため、厚生年金保険の加入要件を満たさない範囲で働くのであれば、年金が調整される心配はありません。
厚生年金の加入の有無は、働く時間などによって決まります。従業員数101人以上の企業など社会保険の適用拡大の対象となる企業以外の一般の企業であれば、正社員の4分の3以上働くというのが1つの目安となります。厚生年金に加入しなければいけない労働時間は会社の従業員数により異なるため、働きたい会社に確認したうえで労働時間を設定するようにしましょう。
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働くことのメリット
ここからは、定年後に働くことのメリットについて紹介します。
お金の余裕ができる
1つ目のメリットは、経済的な余裕ができるという点です。定年後、せっかく時間の余裕ができても、趣味や遊びに使うお金がなければ楽しみが制限されてしまいます。
株式会社JTB総合研究所の調査によると、50~64歳の人が定年後にも働く理由の第1位は「お金のため」と、定年後の経済的な不安を感じている人が多くなっています。働くことで少しでも経済的な余裕ができれば、精神的にも楽になり、暮らしも積極的に楽しむことができるようになるでしょう。
社会との接点が生まれる
2つ目のメリットは社会との接点が生まれるという点です。65歳以上の人が定年後に働く理由の第1位が「社会との接点を持つため」となっており、お金のために働くことよりも社会との接点を持つために働きたいと考えている人が多いことが分かっています。
定年前はお金のために働きたいと考えている人が多い一方で、実際に定年後に働いている人の多くは社会とのつながりを保つために働く人が多いのです。仕事一筋で定年後に社会とのつながりが少なくなってしまったと感じている人であっても、定年後も働き続けることで社会とのつながりを取り戻すことが可能です。
心身の健康面でメリットがある
3つ目のメリットは健康です。人それぞれではありますが、定年後も働き続ける人の方が健康で長生きするといわれています。
働くことは、人とのコミュニケーションによる心の健康、身体を動かすことによる体の健康と、心身ともに健康へのメリットがあります。認知症の予防や脳卒中などの病気の予防になるだけでなく、働くことで周りから頼りにされることで暮らしに張り合いも生まれ幸福度への影響も大きいでしょう。
まとめ
定年後も働くことは、より豊かな暮らしにつながる可能性があります。年金額が調整されてしまうからという理由だけで働かないという選択をするのはもったいないことかもしれません。
あなたの力を必要としている人がたくさんいます。働きたいという気持ちが少しでもあるのであれば、ぜひ、自身の力を生かしてみましょう。
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
株式会社JTB総合研究所 「今シニア」「新シニア」の暮らしとライフスタイル
執筆者:原田真吾
社会保険労務士