更新日: 2023.10.23 その他年金

「月20万円」の年金を受け取りたいです。70歳で繰下げ受給する場合、元の年金額はいくら必要ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「月20万円」の年金を受け取りたいです。70歳で繰下げ受給する場合、元の年金額はいくら必要ですか?
月に20万円の年金を受け取ろうとすると、現役時代の平均年収が約700万円必要です。勤続40年間の平均年収であることを考えると、一部の会社員しか達成できないと考えられます。しかし、現役時代の年収が標準的でも、年金を月に20万円受け取れる可能性があるのはご存じでしょうか? それが年金の繰下げ受給制度です。
 
そこで本記事では、70歳で年金の繰下げ受給をする場合に月20万円になるには元の年金がいくらなのかについて解説していきます。
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そもそも年金の繰下げ受給制度とは?

「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」は、原則65歳から受け取れます。老齢基礎年金は国民年金保険料の納付や免除などの資格期間が10年以上ある人が対象です。老齢厚生年金は老齢基礎年金を受け取れる人が、厚生年金保険に加入している場合に対象となります。
 
年金の「繰下げ受給制度」は、老齢基礎年金や老齢厚生年金を66歳以降に受け取る制度です。繰り下げて受け取ることで年金の額を増やすことができます。具体的には「繰り下げた月数×0.7%」が加算され、最大で75歳まで繰り下げて84%増やすことが可能です。
 
例えば、65歳時点の年金額が月10万円の場合、75歳で繰下げ受給を開始すると月18万4000円受け取れます。この年金額は一生涯受給できるので、その後は長生きすればお得になる制度です。
 

繰下げ受給をして月20万円受給するために元の年金額はいくら必要?

繰下げ受給を70歳から開始する場合の増額率は42%です。そのため、老齢基礎年金を含む老齢厚生年金で月20万円の年金額を受け取ろうとすると、14万845円(20万円÷142%)が65歳時点の年金額として必要となります。
 
令和5年度の標準的な年金額は15万8232円なので、14万845円を超えています。標準的な年金額は、賞与を含む平均的な収入が月額43万9000円で40年間働いた場合を計算したものです。
 
65歳から月額20万円の年金額を受け取ろうとすると約700万円の平均年収で40年間働かなければいけませんが、標準的な年金額であれば繰下げ受給をすれば月額20万円の年金を受け取れる人は多くなると考えられます。
 
標準的な年金額15万8232円の人が70歳で繰下げ受給を開始した場合は、月に22万4689円の年金を一生涯受け取ることが可能です。繰下げ受給制度を利用すれば、月額20万円の年金生活は現実的だといえるでしょう。
 

繰下げ受給制度の注意点

繰下げ受給制度にも注意点があります。
 
まず、繰り下げている期間中に受給権者が亡くなってしまうと本人は年金を受け取れずに一生を終えてしまうところです。この場合の年金は未支給年金として65歳時点の年金額で遺族が受け取ることになります。また、繰り下げている期間中に配偶者が亡くなった場合の遺族年金については増額されないことも注意点です。
 
さらには、年金の配偶者手当といえる加給年金や振替加算については、厚生年金を繰り下げている期間中は受け取ることができません。加給年金や振替加算は増額の対象にもならないため注意してください。
 

繰下げ受給のメリットと注意点を理解しておきましょう

多くの人にとって月額20万円の年金を繰下げなしで受け取ることは現実的ではありません。月に20万円の年金をどうしても受け取りたい人は、繰下げ受給制度の利用を検討しましょう。繰下げ受給制度を利用することで、標準的な年金額を65歳時点で受け取れる人ならば70歳からは月に20万円を受け取ることが可能です。
 
しかし、繰下げ受給制度にも注意点があります。メリットと注意点をそれぞれ理解し、自身の老後生活に役立ててください。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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