更新日: 2023.10.23 その他年金

転職したら国民年金と厚生年金の両方の保険料を支払っていました。このようなときはどうしたらいいですか?

転職したら国民年金と厚生年金の両方の保険料を支払っていました。このようなときはどうしたらいいですか?
これまで国民年金の加入者であった自営業者やフリーランスだった人が、転職して会社員になったような場合、勤務先では厚生年金に加入することになります。手続きのタイミングによっては、年金保険料を重複して支払うことになってしまう場合があるようです。保険料が二重払いとなった場合に、どのような手続きが必要になるかを解説します。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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公的年金制度のおさらい

公的年金制度は国民皆年金という特徴があり、20歳以上60歳未満全ての人が加入する国民年金(基礎年金)と、厚生年金保険が適用されている事業所に勤めている会社員・公務員の人が加入する厚生年金の2種類があります。
 
一般的に公的年金制度は2階建てといわれており、国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分となります。また、国民年金には職業などにより3つの被保険者の種別があります。
 
【図表1】

出典:日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
 
第2号被保険者である会社員・公務員の場合、上記図のように1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金の2つに加入することになり、勤務先を通じて厚生年金保険料を支払います。国民年金保険料については、加入している厚生年金が国民年金の保険料を負担するため、別途支払う必要はありません。
 

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年金の切り替え手続き

自営業者やフリーランスなどこれまで国民年金に加入していた人が、転職で会社員や公務員になった場合、勤務先で厚生年金に加入することになります。厚生年金への加入手続きは、通常、年金手帳やマイナンバーを転職先の会社の担当者に提出することで実施されますので、自らが国民年金の脱退手続きなどを行う必要はありません。
 
なお、20歳以上60歳未満で会社員だった人が退職後に自営業者やフリーランスもしくは無職になる場合は、厚生年金の利用はできなくなるため、厚生年金から国民年金への切り替え手続きを、退職日の翌日から14日以内に自ら行う必要があります。
 

国民年金から厚生年金への切り替えで保険料の二重払いが起きるケース

国民年金から厚生年金への切り替えにおいて保険料を二重で納めてしまう場合があり、それには主に以下の2つのケースが考えられます。

●国民年金加入者がその月の国民年金保険料を納めた後、同月に会社員・公務員として転職した場合
●国民年金保険料を6ヶ月分、1年分、2年分といったように、まとめて前払い(前納)していた場合

勤め先で加入する厚生年金では、国民年金の保険料も負担されているため、上記ケースでは支払い済みの国民年金保険料が重複することになってしまいます。
 

重複して納めた国民年金保険料を取り戻す方法

厚生年金と国民年金の重複があった場合には、基礎年金番号を元に年金事務所が重複を確認し、「国民年金保険料還付請求書」を該当者に送付します。送られてきた書類に必要事項を記入して提出することにより、重複して納めた国民年金保険料の還付を受けることができます。
 
請求書を提出してから実際に納めすぎた保険料が戻ってくるまでは、国民年金保険料還付請求書の受付から約1ヶ月程度かかるようです。
 
なお、保険料を重複して納めてしまっているにもかかわらず、もし転職後数ヶ月たっても請求書類が届かない場合は、年金事務所へ相談をするようにしましょう。
 

保険料の重複があった場合は確定申告にも注意が必要

国民年金保険料は、確定申告を行うことで社会保険料控除を受けることができます。ただし、保険料の重複があった場合は、重複期間分を差し引いて申告をする必要があることに注意しましょう。
 
特に注意したいのが、前納した国民年金保険料の全額をすでに年末調整や確定申告において控除申請していて、その後、前納完了時点までに厚生年金に加入した場合です。この場合、厚生年金に加入してから前納完了時点までの間が重複することになりますので、自身で確定申告や修正申告を行い、正しい控除額へ修正する必要が生じます。
 

まとめ

国民年金と厚生年金の保険料が二重払いとなることは珍しくはなく、特に国民年金を前納している場合は起きやすいといえるでしょう。また、保険料の還付を受ける権利には還付通知書の発行日から2年という時効があります。年金事務所から国民年金保険料還付請求書が届いたら、早めに手続きを行うようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 重複して納めた国民年金保険料を返してもらうにはどうしたらいいですか。
日本年金機構 国民年金保険料還付請求書を提出しましたが、いつごろ還付されるか教えてください。
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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