年金を繰下げして年金受給額をアップさせたいです。平均寿命も延びているし、健康面に心配がなければ問題ないですよね?
配信日: 2024.04.19
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
老齢年金の繰上げ受給・繰下げ受給とは
老齢年金の繰上げ受給は、希望すれば本来の支給開始年齢である65歳より前に減額された年金を受け取る仕組みのことです。一方、繰下げ受給は66歳以後に先送りして増額された年金を受け取る仕組みです。繰上げ受給は原則として、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に請求する必要があります。
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繰上げで減額される年金額の計算方法と注意点は
繰上げ受給の年金額は、老齢基礎年金額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金額(加給年金額を除く)に、下記の計算式から求められます。
減額率(最大24%)=0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
繰上げによる注意点は、老齢年金の繰上げ請求をすると、繰上げする期間に応じて年金額が減額され、減額された年金を一生涯受給することになります。また、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。
繰上げ請求すると取り消しはできず、請求した日の翌月分から年金が支給され、その後は国民年金の任意加入や、保険料の追納ができなくなってしまいます。また、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。
65歳になるまでの間に、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付を受給する場合は、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となります(老齢基礎年金は支給停止されません)。
繰上げした老齢年金は、65歳になるまで遺族厚生年金や遺族共済年金など他の年金との併給はできず、どちらか一方の年金を選択しなければなりません。また寡婦年金に関しては支給されず、受給中の場合は権利がなくなります。また、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金も請求できません。
繰下げによって減額する年金額の計算方法と注意点は
繰下げ受給の年金額は、老齢基礎年金額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金額(加給年金額を除く)に、以下の計算式から求められます。
増額率(最大84%)=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
ただし、65歳以降に厚生年金保険の加入期間がある場合や、70歳以降に厚生年金保険の適用事業所に勤務していた期間があるケースにおいては、在職老齢年金制度により支給停止となる金額は増額の対象になりません。
繰下げによる注意点は、振替加算額や加給年金額は増額対象とはなりません。また、繰下げ待機期間中は、加給年金額や振替加算を受け取れません。
65歳になり老齢基礎年金を受給する権利がある場合、75歳の誕生日の前日の属する月を過ぎてから請求しても増額率は変わりません。増額された年金は、75歳までさかのぼって決定し支払われます。
日本年金機構とそれ以外から複数の老齢厚生年金を受け取ることができる場合、すべての老齢厚生年金を同時に繰下げ請求を行う必要があります。
65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日前日までの間に、障害給付や遺族給付の受給する権利がある場合は、繰下げ受給の申出ができませんが、障害基礎年金のみ受給する権利がある場合は、老齢厚生年金の繰下げ受給の申出ができます。
年金を何歳で受け取ればいいのか… 何が正解かは分かりません
上記の注意点を見ていくと、何が正解かは分からないでしょう。もちろん、平均寿命だけを考えると繰下げを選ぶ場合が多くなるかもしれませんが、実際にはご自身のおかれた状態や健康状態を加味したうえで繰上げ・繰下げを考える必要があります。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表