更新日: 2019.01.07 iDeCo(確定拠出年金)
確定拠出年金(iDeCo)が60歳で受け取れないケースとは?
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Text:福島えみ子(ふくしま えみこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
まずは確定拠出年金の受取り条件を確認
確定拠出年金は、基本的に60歳までに掛金の積立を終え、原則60歳から70歳までの自分の好きなタイミングで受取を開始します。ただし、60歳から受け取るには前述のように条件があります。それが、「60歳になるまでの間に確定拠出年金制度に通算で10年以上加入していること」という条件です。この期間を「通算加入者等期間」といいます。
では、「通算加入者等期間」が10年に満たなければいったいどうなるのでしょうか?
10年に満たない場合、加入していた期間に応じて、受け取り可能年齢が後ろ倒しになっていきます。例えば、加入期間が8年以上あれば61歳から受取り可能、6年以上あれば62歳から受取可能ということになります。具体的には、下記の表のように、最大65歳まで受取可能年齢が後ろ倒しになります。
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通算加入者等期間にカウントされるのは?
受取り開始年齢に影響する、この「通算加入者等期間」。では、「通算加入者等期間」にカウントされるのは具体的にどういった期間なのでしょうか?これは、60歳までの個人型確定拠出年金と企業型確定拠出年金両方の「加入者期間」と「運用指図者の期間」の合算がカウントされます。掛金を出して運用するのが「加入者」ですが、この期間だけでなく、掛金を出さずに口座内のお金の運用だけを続ける「運用指図者」の期間も含まれます。
さらに、会社で厚生年金基金などが解散して確定拠出年金の制度が導入されたというような場合、厚生年金基金などに加入していた期間も通算加入者等期間に合算できることもあります。ですから、一見、条件に足りないように見えても、「自分の場合」をよく確認してみることをおすすめします。
こんなときは特に注意しておきたい
ちなみに、会社の離退職時などに確定拠出年金の資産を持ち運ぶ手続き、つまり有効な「移換」の手続きをしなかったために、強制的に現金化されて国民年金基金連合会へ「自動移換」の状態になってしまっている場合は、この「通算加入者等期間」に含まれないのでくれぐれも注意が必要です。「自動移換」の状態になっていれば、何年経っても通算加入者等期間に算入されません。それゆえ、60歳などなるべく早いタイミングで受け取ることを希望するならば、掛金を積み立てない場合でも、自動移換の状態から出して運用指図者の状態にしておくことも大切です。
また、新規に確定拠出年金への加入を検討する方で、今50歳を超えていますという人は特に注意が必要です。加入時にすでに60歳までの期間がすでに10年に満たないためです。したがって、50歳を超えている人は61歳~65歳までのいずれかの受取開始になりますから、自分の場合は何歳からの受取になるのか?それでも税軽減効果を含めメリットがあるか?を確認したうえで、確定拠出年金に加入するようにしたいものです。
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では、受取開始できるのはいつまで?
ところで、もうひとつ注意しておきたいのが、受取開始年齢が繰り下がっても、受け取り請求できる期限はあくまでも70歳になるまでという点です。65歳から受け取り可能になったとしても、例えば75歳まで受取可能期間が伸びるわけではなく、70歳になるまでに受取り開始の請求をしなければなりません。ちなみに、“70歳までに受取開始”というのは、厳密には70歳の誕生日の2日前までが請求期限となります。
また、よくある誤解が、「70歳までにすべて受取り終わらなければならない」というものですが、70歳になるまでに「受取り開始」すればよく、実際の年金受取は70歳を超えても構いません。
このように、確定拠出年金は60歳から受け取れると思っていても、加入の期間次第では最大65歳まで受取りできない可能性もあります。受け取る段になってはじめて“想定外”とあわてないために、今のうちに、「自分の場合はどうなる?」をぜひ確認しておきましょう。