更新日: 2024.11.11 その他年金

夫が交通事故で定年前に亡くなりました。年金を「1円も」受け取っていないのですが、今まで支払った保険料は返金してもらえますか?

夫が交通事故で定年前に亡くなりました。年金を「1円も」受け取っていないのですが、今まで支払った保険料は返金してもらえますか?
年金を受け取り始める前に本人が亡くなってしまうケースがあります。この場合、本人の年金加入状況によって遺族は給付金を受け取れるケースがあるため、確認が必要です。
 
条件に当てはまっていれば、保険料の掛け捨て状態にならずに済むでしょう。今回は、年金を受け取る前に配偶者が亡くなったときの年金や、実際に受け取れる金額はいくらなのかなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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亡くなった方の状況に応じて遺族は給付金を受け取れるケースがある

国民年金保険料を支払っている方が年金を受け取る前に亡くなっても、支払った保険料自体は返金されないと考えられます。ただし、遺族基礎年金や遺族厚生年金、死亡一時金など、ほかの給付金を受け取れるケースがあるため、保険料の掛け捨て状態にはならない可能性があります。
 
受け取れる金額や条件は種類によって異なるため、あらかじめ知っておくと、配偶者が亡くなるといった万が一の事態にも対応しやすくなるでしょう。
 

支払いすぎた保険料は戻ってくるケースがある

亡くなるまでの間に支払った保険料は返金されませんが、前納制度を利用していたなどの理由で亡くなったあとの分も保険料を支払っていた場合は、返金されるケースがあります。
 
江東区によると、前納や、口座振替・クレジットカード納付を利用していたために死亡後に行われた振替処理で年金保険料が支払われた場合は、原則還付されるとしています。ただし、還付される範囲は亡くなった翌日が属する月以降の支払い分です。
 

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遺族年金とは

遺族年金は、亡くなった方(以降本人とします)の遺族が条件に当てはまっていれば受け取れる年金をいいます。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、受け取れる条件と対象者は表1の通りです。
 
表1

遺族基礎年金 遺族厚生年金
本人の条件 ・国民年金の加入期間中だった
・国民年金に加入していた
60~65歳未満で住所が日本にある
・老齢基礎年金を受け取っていた、
もしくは受け取る権利を有していた
・上記のどれかに該当している
・厚生年金の加入期間中だった
・厚生年金の加入期間中に初診日を持つ
けがや病気を原因として亡くなった場合、
死亡日が初診日から5年以内
・障害厚生(共済)年金の1級か2級を
受給していた
・老齢厚生年金を受け取っていた、
もしくは受け取る権利を有していた
・上記のどれかに該当している
対象者
(優先順位)
本人に生計を維持されていた以下の遺族
1 子どものいる配偶者
2 子ども
本人に生計を維持されていた以下の遺族
1 子どものいる配偶者
2 子ども
3 子どものいない配偶者
4 両親
5 孫
6 祖父母
金額 ・子どものいる配偶者が受け取るとき
81万6000円+子どもの加算額
(昭和31年4月2日以降生まれの場合)
・子どもが受け取るとき(1人あたり)
81万6000円+2人目以降の子どもの
加算額を子どもの数で割った額

子どもの加算額
2人目まで:各23万4800円
3人目以降:各7万8300円

・本人の報酬比例部分の4分の3
(厚生年金の加入期間が25年に満たない場合は25年として計算される)
・本人の配偶者が65歳以上かつ老齢厚生(退職共済)年金を受け取れるときは、
上記の金額と「本人の報酬比例部分の半額
+配偶者の老齢厚生(退職共済)年金額の半額」のうち高い方

※筆者作成
 
今回の事例において、もし妻が遺族基礎年金だけに当てはまり、子どもが1人いると、受け取れる年金額は合計105万800円です。なお、子どもとは18歳に達した年度の3月31日までにある方か、障害年金の障害等級が1級か2級状態の20歳未満の方を指します。
 
また、遺族厚生年金を受け取っている配偶者が65歳になり自身の老齢厚生年金を受け取る権利を有すると、老齢厚生年金は全額受け取れますが、同額相当の遺族厚生年金は支給停止されます。
 

遺族年金に当てはまるといくら受け取れる?

今回は、以下の条件で夫が亡くなったときに妻が受給できる遺族年金額を計算しましょう。


・夫は60歳で亡くなる
・妻は60歳
・夫の厚生年金加入期間は22~60歳の38年間
・厚生年金に加入したのは平成15年4月以降
・夫は年収400万円で38年間変わらないものとする
・賞与は考慮しない
・子どもは20歳を超えている

条件を基にすると、月収は約33万3333円です。日本年金機構によれば、老齢厚生年金の報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で求められます。標準報酬額とは、加入期間中の賞与や月収を基に決められる数値で、今回のケースだと34万円です。収入は一定としているため、平均標準報酬額も34万円になります。
 
計算式に当てはめると、夫の報酬比例部分は「34万円×0.005481×456ヶ月(38年)」で約84万9774円です。受給できる遺族厚生年金額は4分の3なので、妻の受給金額は年に約63万7331円になります。
 
なお、子どもは20歳を超えているため遺族基礎年金は受け取れません。
 

保険料の返金はないものの遺族年金や死亡一時金などを受け取れる可能性がある

公的年金に加入中の方で、まだ年金を受け取り始めていない方が亡くなった場合、遺族は遺族年金や死亡一時金などを受け取れる可能性があります。遺族年金においては、子どもの年齢や有無によって適用される種類が変わるケースもあるため、注意が必要です。
 
今回の試算によれば、もし亡くなった方の年収が400万円で38年間一定だったとすると、配偶者は約64万円の遺族厚生年金を受け取れます。ただし、自分の老齢厚生年金を受け取るようになると、同額相当の遺族厚生年金は支給停止の対象です。
 

出典

江東区 年金を受け取る前に亡くなったとき
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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