更新日: 2019.06.13 iDeCo(確定拠出年金)

実は気づいていないだけかも?あなたの周りにある「老後の備え」に使える制度

実は気づいていないだけかも?あなたの周りにある「老後の備え」に使える制度
筆者はファイナンシャルプランナーとして、30代40代の子育て世代の女性に資産運用の必要性をお伝えすることが多いため、その世代の方から資産運用の相談をよくいただきます。
 
先日、ご相談に来られたAさんもそのうちの1人。小学生のお子様を持つ30代のお母さんで、資産運用を始めたいということで相談に来られました。今まで、資産運用の経験はなく、どのように始めれば良いのか分からないというご相談です。
 
しかし、お話を伺ってみると、すでにAさんは資産運用をされていたのです。どういうことでしょうか。
 

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前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

企業型確定拠出年金の存在

すでに始めている資産運用というのは、勤めている会社が導入している企業型確定拠出年金での運用のことです。Aさんは、会社の確定拠出年金に加入していたのです。
 
Aさんに資産運用の目的や、始めたいと思った理由をうかがったところ、低金利の銀行預金にお金を預けておくのはもったいない気がするとおっしゃいます。そして、老後資金を準備したいとのご要望でした。
 
また、特に目的を決めてはいないけれど、家の補修や教育費が足りなかった場合のことを考えて、資産運用を始めたいとのことでした。資産運用の目的に、「老後の備え」があるなら、まずは会社の確定拠出年金を活用すべきです。
 
すでに、資産運用できる環境が整っていて、会社が掛け金を支払ってくれているという恵まれた環境です。これを活用しない手はありません。にもかかわらず、Aさんには会社の確定拠出年金を活用して、老後の対策をするという選択肢がなかったのです。
 

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企業型確定拠出年金に対する認識

Aさんに限らず、会社が掛け金を拠出してくれる企業型の確定拠出年金に加入している人の中には、その存在をあまり意識されていない方がいらっしゃいます。
 
しかし、確定拠出年金の資産は自分の老後生活を左右する大切な資金源であり、その資産を生かすも殺すも、今の自分次第です。
 
会社にマッチング拠出制度があり、自分自身でも掛け金を拠出している方は、残高や掛け金額、運用状況等を記憶していることが多いのですが、会社が掛け金を拠出し、運用だけは従業員が行う場合は、自分自身と会社の確定拠出年金の関係性を強く感じられないことがあるようです。
 
ただ、金融教育を受けてきていない私たちですから、年金制度や資産運用と関係が深い確定拠出年金は、自分自身の将来にどれだけ深く関係しているのか実感できない、と感じてしまうのは、ある意味仕方ないことかもしれません。
 
とはいえ、確定拠出年金に無関心のままでは、いられません。
 

確定拠出年金の口座状況を確認

Aさんに、確定拠出年金の口座状況について聞いたところ、残高や毎月の掛け金の金額もわからない、ログインをしたことがない、とのことでした。
 
そこで、まずは口座の精査をはじめることから提案させていただきました。会社が資産運用の環境を整えてくれているわけですから、自分で何も準備する必要はありません。まずは、会社の確定拠出年金を有効に活用することが、資産運用の第一歩です。
 
残高や掛け金が分かりませんから、確定拠出年金でどれだけの老後資金が見込めるかがわかりません。自分で、あとどれだけの老後資産を準備すべきかを考えるにあたっては、やはり、口座の情報は不可欠です。
 
その金額によっては、目標額が変わることもあります。資産運用において、目標と目標額を決めることは、運用方針にも影響する大切なことです。Aさんにおいては、確定拠出年金の掛け金状況や残高、運用商品が何になっているのか、確認することから始めることにしました。
 

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自分が使える制度を知っておこう

老後の資産準備をするにあたっては、新しいことを始める前に、まずは会社の制度を確認してみてください。企業型確定拠出年金の存在だけでなく、退職金制度全体について調べてみることをお勧めします。
 
なぜなら、ご自身の会社の退職金制度を理解している方は、それほど多くないからです。また共働きの場合は、自分の会社の退職金制度だけでなく、配偶者の制度についても調べておきましょう。
 
夫の会社に退職金制度はないと思っていたけれど、実はあったというケースもあります。新たな発見があると、今後の自分自身の行動内容も変わります。まずは、自分の周囲の制度を調べてみることをお勧めします。
 
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者
 

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