【FP解説】年金の「知らないと損!」 「ねんきんネット」で記録を早めにチェックしておいた方がいい理由って?
配信日: 2020.02.14
第9回は「ねんきんネットで早めにチェック」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
パソコンやスマートフォンでチェックできる
老齢年金・障害年金・遺族年金と、年金の種類を問わず受給することになってから、自身の年金の記録に疑問を持つ人は少なくありません。
しかし、たいていの場合、保険料を納付したのはずっと昔のことですから、記録を調査・訂正してもらおうにも、給与明細書や領収書がなかなか見つからず、大変苦労することになります。
そんなことにならないように、日本年金機構の「ねんきんネット」(※)の活用をお勧めします。わざわざ、遠方の年金事務所まで足を運ばなくても、パソコンやスマートフォンでチェックできるのですから便利です。
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最初にユーザーIDを入手する
2007年に問題化した年金記録問題を教訓に、2011年に「ねんきんネット」が作られました。年金記録問題というのは、年金手帳などに記載されている基礎年金番号に統合されていない記録(持ち主不明の年金記録)が約5100万件もあると判明して、大きな社会問題になったものです。
「ねんきんネット」を利用するには、最初にユーザーIDを入手する必要があります。日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」が手近にあれば、そこに記載されている17桁のアクセスキーを使って即時発行が可能です。
アクセスキーが分からない場合でも、日本年金機構のホームページ上で申し込めば、1週間程度で郵送されてきます。
持ち主が不明になっている年金記録の検索機能も
「ねんきんネット」で調べることができるのは、国民年金の保険料納付状況のほか、厚生年金保険の場合は事業所名、標準報酬月額、標準賞与額などです。標準報酬月額が前月と極端に変動している場合などは「要確認」の指摘もしてくれます。また、将来の年金額を試算できます。
特に便利なのが、持ち主が不明になっている年金記録の検索機能です。「勤務したはずの事業所が漏れている」と気づいた場合は、自身で記録を探し出すことが可能です。「事業所が漏れている」という場合のほか、「勤務期間が違う」「当時の標準報酬月額が少なすぎる」などと気づいた際は、年金事務所に相談に行くのが良いでしょう。
早めのチェックをお勧め
年金事務所では正しい記録を調査してもらうことになりますが、年月がたつと、給与明細書等の資料が散逸しがちですし、勤めていた事業所がすでに存続していなかったり、勤務実態を証言してくれる当時の同僚が見つからなかったりと、不利な条件が多くなります。年金記録を早めにチェックしなければならない理由がここにあります。
もちろん、パソコンやスマートフォンの操作に自信がない人は、初めから年金事務所に足を運んでチェックしてもらうことも可能です。その場合は、事前に年金相談の予約をしておくと待ち時間が節約できます。
「きっと、間違いはない」という思い込みが危うい
ところで、日本年金機構の最新の2018年度年次報告書によると、このユーザーIDを取得した人は、サービス開始以降約500万人です。2017年度末の公的年金加入者と年金受給権者が合わせて約1億800万人ですから、21人に1人という低い普及率です。自身の年金記録について「きっと、間違いはない」と思っている人が結構多いのでしょうか。
しかし、先の年次報告書によると、2019年3月時点で、持ち主不明の未統合記録はまだ約1860万件もあるそうです。そして、同年度に事業所調査で見つかった資格取得の漏れや標準報酬月額等の間違いなどは、併せて9万件余りもあったとのことです。のんびり構えているわけにはいかないように思います。
(※)日本年金機構「年金ネット」
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士