障害年金に所得制限はないの? 申請する際に気をつけたいポイント

配信日: 2020.04.17

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障害年金に所得制限はないの? 申請する際に気をつけたいポイント
病気やケガによって一定の障害状態となり、生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる障害年金。
 
この障害年金に所得制限はあるのでしょうか? これから申請しようと思っていらっしゃる方であれば、非常に気になるところだと思います。今回は障害年金の所得制限について説明します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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障害年金に所得制限はない

原則として障害年金の受給に所得制限はありません。しかし、例外も存在します。まず整理しておきたいのは、所得制限があるのは「障害基礎年金」のみで、「障害厚生年金」には所得制限がないということです。
 
では、どんな場合に所得制限を受けることになるのかについて、以下に詳しく説明します。

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障害年金の所得制限がある2つの例外

所得制限の見極めのポイントは、申請時にも関係してくる「初診日」です。初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日です。
 
なぜこの初診日が大切になってくるかというと、障害年金の申請において「障害認定日」を特定する必要があるからです。そして、この障害認定日とは初診日から1年6カ月たった日です。
 
医師から診断されてすぐに障害年金の申請ができるわけではない、ということを理解しておく必要があります。
 
また、障害年金の交付の要件として、初診日の時点で国民年金や厚生年金、共済年金に加入しており、納付の条件を満たしている必要があることが挙げられます。

■20歳前の障害ケース

ここで問題になってくるのが、20歳前に障害になったケースです。20歳前ということは、国民年金保険料を納付していません。
 
ただこの場合は、病気になったタイミングが20歳前だっただけで、故意に保険料を納付しなかったわけではありません。したがって、20歳前に障害の状態になった方についても、障害年金を受給できることになっています。
 
ただし、国民年金保険料を納付している方との差別化を図るため、一定の所得制限を設けているのが実態です。
 
障害年金の受給において実際に所得制限を受けるのは、
・20歳前の障害
・特別障害給付金

の場合です。
 
ちなみに20歳前の障害によって障害基礎年金を受け取る場合の所得制限は、段階性が設けられており、例えば2人世帯において所得額が398万4000円を超える場合には年金額の2分の1相当額が、500万1000円を超える場合には全額が支給停止となります。この際、計算の対象となる所得は前年分の所得です。
 
ここできちんと整理しておきたいのが、「所得」の意味です。所得とは、年収から必要経費(会社員などであれば給与所得控除)を引いたものです。年収と所得の違いをここでしっかり理解しておきましょう。
 
20歳前の障害により障害基礎年金を受給する場合、毎年7月末までに「所得現状届」を提出することになっています。その内容によって、所得制限にかかるかどうかを判断することになります。
 
もし提出しない場合は、所得額にかかわらず、障害年金を一時的に受給できなくなってしまいますので、障害年金の給付が開始されたら、毎年忘れずに提出するようにしましょう。
 
(1)20歳前の障害ケース
20歳前の障害における障害基礎年金の所得制限(1人世帯)


 
(2)20歳前の障害ケース
20歳前の障害における障害基礎年金の所得制限(2人世帯の場合)

 
もし、世帯人数が2人よりも多い場合は、扶養親族1人あたり所得制限額が38万円加算されます。また、扶養親族も種類がありますので、例えば、対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円加算となり、特定扶養親族等であるときは1人につき63万円加算です。

■特別障害給付金のケース

特別障害給付金とは、昔、国民年金が強制加入でなかった時代に任意加入しなかったことが原因で、障害基礎年金などを受給できない方が申請し、受給できるものです。
 
具体的な対象者は以下に該当する方となります。
 
1.平成3年3月以前に国民年金任意加入対象だった学生で、大学、大学院、短大、高等学校および高等専門学校、もしくは専修学校および一部の各種学校の昼間部に在学していた人
 
2.昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者
 
具体的には以下のいずれかに当てはまる方の配偶者
・被用者年金制度の加入者
・被用者年金制度の老齢給付受給権者および受給資格期間満了者
・被用者年金制度の障害年金受給者
・国会議員
・地方議会議員(昭和37年12月以降に限る)

 
ただし、次の条件を満たしていないと受給対象外となりますので、注意してください。
1.任意加入していなかった期間中に初診日がある
2.現在障害基礎年金の1級または2級相当の障害の状態にある

 
また、通常の障害年金や障害共済年金の受給権がある方も、この特別障害給付金の受給対象外です。特別障害給付金の支給額については、その方の障害の程度を基準として計算されます。


そして、この給付額については前年の消費者物価指数の変動に合わせ、毎年見直されることとなっています。この特別障害給付金についても、20歳前の障害における障害基礎年金と同じく、所得制限が設けられています。
 
(例)特別障害給付金の所得制限(1人世帯)

また、特別障害給付金については、「老齢年金」や「遺族年金」、「労災補償」などを受給している場合は、それを差し引いた額が給付金となります。
 
さらに、老齢年金などの額が特別障害給付金よりも多い場合、特別障害給付金の給付はされませんので注意が必要です。

一度支給停止になったら一生支給されない?

所得が一時的に多くなった場合などで、支給停止となった場合でも、支給停止の状態が一生続くわけではありません。病気や障害の程度が重度化や、それ以外の理由でも所得が下がったなどの場合であれば、支給は開始されます。
 
特に手続きが必要なわけでもなく、前述のように毎年提出する「所得現状届」によって判断されますので、その届けをきちんと提出しておけば問題ありません。

■障害年金支給を再開する際の注意点とは?

必ず守っていただきたいのが、所得現状届を毎年提出することです。もちろん支給停止中であっても忘れずに提出するようにしてください。
 
また、所得現状届を提出する際、合わせて障害状態を確認する書類の提出も求められます。こちらについても必ず提出するようにしましょう。
 
具体的には、病気や障害でかかっている医師に診断書を書いてもらい、それを提出する形になります。どちらも日本年金機構から送られてきますので、送られてきた書類については、内容を必ず確認し、期限までに提出することを忘れないようにしてください。

Q&A

副業や株の配当金、不動産などで得た所得は対象の所得に入りますか?

A.副業や株の配当金、不動産などで得た所得以外にも、退職所得なども対象の所得に入ります。これらの年間所得によっては、翌年の障害基礎年金の支給額における所得制限を受ける可能性があります。

まとめ

障害年金は非課税所得となりますので、収入がある場合でも受給は可能です。ただし、20歳前の障害に基づいて受給されている方や、特別障害給付金を受けられている方については、所得制限を受ける可能性があります。
 
障害年金は国が認めた制度ですが、受給するためには毎年提出が必要な書類が存在します。その扱いを決しておろそかにしないことが、以降の受給においても大切になるということを理解しておきましょう。
 
(参考)
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
日本年金機構 特別障害給付金制度
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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