更新日: 2020.06.10 国民年金

学生の年金保険料。免除するか、今払うか、どちらがお得?

学生の年金保険料。免除するか、今払うか、どちらがお得?
学生のなかには、アルバイトができなくて生活が苦しい。さらには、国民年金保険料を支払う余裕などない、という人もいます。
 
金銭的にゆとりがない学生の場合、保険料の支払いの猶予や免除を受けることも可能です。今回は、今支払うべきか、猶予や免除を受けるほうが良いのか、考えてみたいと思います。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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知っておきたい特例制度

日本に住んでいる場合、国籍を問わず、20歳になったときから国民年金保険料の支払いが義務付けられています。
 
ただし、収入のない学生にまで義務を負わせるのは酷であるということもあり、学生は申請することにより、在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用できます。
 
この場合の学生とは、大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、および各種学校に在学していることが必要です。
 
学習形態も一般の学生はもちろんのこと、夜間・定時制課程、通信課程もOKです。その他、海外大学の日本分校であっても、文部科学大臣が指定した過程に在籍していれば対象です。
 
ただし、上記の学生であっても、一定の所得以下であることが必要です。
 
本年度の所得基準(申請者本人のみ)
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

 
注意してほしいのが、あくまでもこの特例制度では支払いが猶予できるということ。後から保険料を支払わなくてはなりません。

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特例により、免除が受けられる

新型コロナウイルス感染症の影響により、アルバイトができなくなった、シフトに入れずバイト代が大幅に減ってしまった等の場合には、国民年金保険料の免除を受けることができます。
 
この特例の対象となる要件は、
(1)令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと
(2)令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること

 
この特例免除申請は、令和2年5月1日から申請することができ、令和2年2月分以降の国民年金保険料が対象です。つまり、金銭的にゆとりがなくて滞納していても、申請することにより、2月からの国民年金保険料の支払いは免除になるというわけです。後から支払う必要はありません。
 
どちらの特例を利用する場合でも、住民登録をしている市(区)役所・町村役場または年金事務所へ申請してください。

猶予を受けるべきか、免除するべきか……それとも支払うべき?

単純に考えれば、保険料を支払わなくても良いのなら、免除申請するのがお得に思えます。ただし、新型コロナウイルス感染症の対応策と同様に、年金の支払いにおいても今の行動が未来を変えていくのです。
 
猶予を受けた場合は、後から支払うことになりますが、例えば収入が多くなったときに猶予を受けていた保険料を支払うことで、課税対象となる所得を減らすことができます。お金のゆとりがあるときに支払える、かつ節税になります。
 
免除を受けた場合は、支払い義務はありませんし、カラ期間といって、加入期間として認められるのが大きなメリットといえます。
 
ただし、年金受給額には反映されませんので、将来受け取れる年金額が減ってしまうことになります。また、猶予を受けたときと同様に、後から支払うことも可能です(強制ではありません)。
 
生活にゆとりがない場合、無理して国民年金保険料を支払わなくても良いと思うかもしれません。しかし、支払いの猶予を受ける場合も、免除してもらう場合もメリットとデメリットがあるのです。
 
将来のことは誰にも分かりません。どのようにすれば良いのかの判断は難しいと思いますが、ただひとついえるのは、生活に余力があれば、リカバリーすることはできるということです。
 
どのような選択をした場合でも、年金の支払い状況をしっかりチェックしておき、将来、どのような行動をすれば思い描いた未来になるのか考え、選んでいくことが必要なのではないでしょうか。
 
(参照)
国民年金機構「国民年金保険料の納付特例制度」
国民年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト


 

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