更新日: 2020.07.12 iDeCo(確定拠出年金)

確定拠出年金(DC)のキホン。企業型と個人型の違いって?

確定拠出年金(DC)のキホン。企業型と個人型の違いって?
平成29年1月より、個人型DC(イデコ)の加入者の範囲が広がったこともあり、老後資金の準備の方法として確定拠出年金への関心が高まっています。確定拠出年金には、企業型DCと個人型DCがあります。それぞれの特徴と留意点について、概要をまとめてみました。

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新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

企業型DCの概要

企業型DCは企業が実施する退職給付制度のひとつです。実施するかどうかは企業が決めます。確定拠出年金の施行状況(令和2年4月30日現在)によると、企業型DCの実施事業主数は3万6216社、加入者は約723万人となっています。
 
企業型DCを導入した企業では、原則として従業員全員が加入しますが、一定の職種、一定の勤続期間、一定の年齢、などの一定の資格を定めて、当該資格を有する者だけを加入させることもできます。企業の年金規約に定める、資格喪失年齢(60~65歳)となる誕生月まで加入できます。
 
掛金は企業が拠出し、企業が選んだ運営管理機関が選定した商品の中から従業員が選択し、自ら年金資産の運用を行います。なお、マッチング拠出を実施している場合、企業が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せすることも可能です。
 
平成30年1月より、拠出単位が月単位から年単位に変更され、より柔軟な拠出が可能になりました。掛金の限度額は、他の企業年金を実施していない場合は月額5.5万円、他の企業年金を実施している場合は月額2万7500円です。
 
転職した場合、転職先の企業が企業型DCを導入していれば、転職先の企業型DCに移換するための手続きをとります。導入していない場合は個人型DC(イデコ)に移換します。
 
なお、企業型DCを実施している場合でも、規約に定めた場合には個人型DCにも同時に加入することができ、企業型と個人型の確定拠出年金を併用することができます。ただし、従業員拠出(マッチング拠出)のある場合は、個人型DCに同時加入できません。

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個人型DCの概要

個人型DCは、個人の自助努力による老後の資産形成を支援する制度です。掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
 
制度に加入するかどうかは個人の任意です。平成29年1月より、従来加入できなかった公務員や専業主婦なども加入できることになり、つまり基本的に20歳以上60歳未満のすべての方が加入できることになりました。
 
確定拠出年金の施行状況(令和2年4月30日現在)によると、個人型DCの加入者数は第1号加入者(自営業者等)が18万619人、第2号加入者(会社員等)が135万1166人、第3号加入者(専業主婦(夫)等)が5万4984人、合計158万6769人となっています。
 
掛金は個人が拠出し、個人が選んだ運営管理機関の提供する運用商品の中から選択して自ら年金資産の運用を行います。
 
平成30年1月より拠出単位が月単位から年単位に変更され、より柔軟な拠出が可能になりました。例えば、賞与のある月の掛金を多めにできます。掛金は月額5000円以上1000円単位で本人が決めます。職業などによって掛金の上限は異なっています。
 
自営業者学生等の場合、掛金の上限は月額6万8000円、専業主婦(夫)は月額2万3000円、公務員等共済加入者は月額1万2000円となっています。会社員の場合はちょっとややこしくて、勤務先の企業年金制度の有無などによって上限額が異なります(月額2万3000円・2万円・1万2000円)。
 
なお、掛金について追納や前納はできませんが、掛金額の変更は可能です。ただし、毎年4月から翌年3月までの年1回に限ります。
 
国民年金の保険料が未納になっている場合は、その月に個人型DCへ掛金を拠出できません。また、保険料が免除されている場合には、個人型DCへの加入ができませんので自営業者等は留意しましょう。

小規模事業主掛金納付制度(イデコプラス)

小規模事業主掛金納付制度(イデコプラス)は、企業年金を実施していない中小企業(従業員数100人以下)において、iDeCo(イデコ)に加入している従業員の加入者掛金に対して、事業主が掛金を上乗せ(追加)して拠出することができる制度です。
 
中小企業主掛金は、加入者掛金との合計額が拠出限度額(年額27万6000円)以下の範囲で拠出できます。加入者掛金は給与天引きされ、中小企業主掛金とともに納付されます。

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DCの税制

DCでは「掛金拠出時」「運用時」「給付の受取時」の3つの場面で優遇税制があります。
 
企業型DCでは、事業主掛金は損金、従業員掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、運用益は非課税、老齢給付金を一時金で受け取る場合は退職所得として課税(退職所得控除の対象)、年金として受け取る場合は雑所得として課税(公的年金等控除の対象)されます。障害給付金は非課税、死亡一時金は相続税として課税されます。
 
個人型DCでは、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となります。「運用時」「給付の受取時」の税制は企業型DC]と同じです。なお、積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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